蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

ONKYO M55の修理(エッジ張り替え)

ONKYO(オンキョー)M55に元々装着されていたエッジは、ウレタン製のオーソドックスなものであるが、今回その交換用としてAmazonで調達したのはクロス(布)製で、しかもダブル(ツイン)ロールという少々珍しい形状をしている。

 

これを選んだ理由の一つは、後者は一先ず措くとして、商品ページの画像から材質的にウレタンに似た質感を具えているように見えたことだったのだけれど、実物を目にしてその判断には誤りのあったことがわかった。

 

あまりにも薄いことに加え、ダンプ剤がまったく塗布されておらず、布目は固より所々に生じた穿孔から向こうが透けて見えるのである。

 

20230907-エッジの穿孔

 


もっとも、商品画像を見直しても別段加工しているわけではなく、想像と現実の相違は単なるこちらの思い込みによることは明らか。

 

これもまた一つの縁、改めて別のエッジを物色して注文するのも面倒なので、そのまま使ってみることにした。

 

 

 

 


セーム革がエッジとして用いられることもあることだし、この製品エッジがダンプ剤の別途塗布を前提とした製品なのか否かは定かでないが、オリジナルがウレタンエッジであることを鑑みると、やはりダンプ剤によりある程度の弾性(≒制動性)を持たせたい。

 

さらに、密閉型モデルであるM55に適用するとなると、布目と穿孔も塞ぐべきだろう。

 

というわけで、そのための塗布剤には何を――という新たな問題が出来した。

 


このような場合、専門業者はどうしているのだろうとまたファンテックさんのサイトを覗くと、さすが当該商品がきちんと用意されてはいたものの、例によって当方の購入したエッジにとっては些か勿体ない感を禁じない。

 

もう一つ別に思い付いた液体ゴムという手も、どれも量が多すぎることから採用を見送った。

 


それなら手元に何か使えそうなものはないかと思案しているうち、これまでのエッジ張り替えにおいていつも役立ってくれた接着剤「アルテコ パワーエース 速乾アクリア」に柔軟性があるということが頭に浮かび、これを使ってみることにした。

 


エッジ全体に塗布するにはそのままでは粘性が高すぎるように感じたため、若干水で薄めたものを毛筆で塗り、乾燥のため丸一日置いた上で確認すると、完全とはいかないまでも穴開きはだいぶ塞がっていた。

 

ただ、思ったより硬く仕上がっており、制動性については強く出過ぎてしまった感がある。

 

しかし今更後戻りはできないので、エージングの効果を期待することにした。

 


今般はこの下準備に思わぬ手間暇を要したが、エッジの張り替え自体は特に困難もなく、これまでに何度も既述した同作業通例の手順を辿って終えるに至った。

 

20230907-ONKYO M55の修理(エッジ張り替え)

 


さて、接着剤の乾燥を待って鳴らしてみた印象だが、少なからずプラセボ効果が作用しているとは思うものの、やはり低域に硬さと伸びの阻害が感じられる。

 

果してこれらがエージングにより改善するのか、どうか……

 

 

 

 

ONKYO(オンキョー) M55―機能確認とクリーニング

今般入手したONKYO(オンキョー)の往年のスピーカーM55は(も)、「出音未確認」という状態、オーディオ機器にとって重大な問題を抱えている可能性のあるものゆえ、安価な値付けとなっていた。

 

そこで、この懸念が払拭されるか、それとも顕在化するかを初めに確認することにした。

 


アンプと接続し、いつものように期待と不安を胸に小音量で音楽を再生してみると、幸い左右どちらからも音が流れ出して先ずは一安心。

 

少し音量を上げても、ウーファーエッジ劣化のため低域はスカスカながら、他には特に異常は感じられない。

 


続いてツイーターの状況を見る意味もあってアッテネーターを操作したところ、恐らく避けられないであろうと踏んでいたガリがあり、さらに音の寸断も生じた。

 

しかしともかく、アッテネーターの操作に応じて全体の音質は変化しており、ツイーターも生きていることは分かった。

 

このガリを除くには、当然アッテネーター回路へのアクセスが必要なわけで、さてそのためには――と本体を暫く眺めてみたが具体的方法は思い浮かばなかったので、取り敢えずつまみを左右両端までぐりぐりと何度も往復させてみたところ、音の途切れはなくなりガリもかなり低減したことから、この問題については先送り、当面様子を見ることにした。

 

 

 

 


一方、ウーファーエッジの張り替えは必須なので、早速それに用いるエッジの選定である。

 

例によってファンテックさんにはM55にフィットする商品がラインナップされているものの、価格的にスピーカー本体の入手代金と照らすとアンバランス感を否めず、より安価なものはないか――と探してAmazonで見つけたのが、「uxcell クロスエッジ 外径195mm」なる一品である。

 

他にラバー製のものも目に付いたのだけれど、元々ウレタン製のエッジにこれを代用した場合、低域が質量ともに大きく変化してしまうように思われ、さらに接着剤も、手持ちの扱いやすい水性品では用をなさないことから見合わせて上のクロスエッジを注文した。

 


さて次は、それが届いた時に気分よく張り替え作業をできるよう、クリーニングだ。

 

はじめは全体的にかなり燻った印象だったが、ざッと水拭きしただけで思った通り見違えるような姿となった。

 

さらにワックスをかけたりすればより一層輝きが増すだろうけれども、現状に特に不満があるわけでもないことから、こちらも当面はこのままでよかろう。

 


ただ、よく見るとウーファーのグリルネットに傷があり、光の加減によっては結構目立つ。

 

20230903-ONKYO(オンキョー) M55―機能確認とクリーニング

 

どうせエッジ張り替えの際に外すことになるし、手元に塗料(ラッカースプレー)もあるので、今のうちにこの対処を済ませてしまうことにした。

 


グリルネットはゴム製のリングに嵌め込まれているように見え、そのゴムリングを含めて外すべきかどうか少し迷ったが、事は単純に――とまずはネットにだけ着目してリングとの密着部にマイナスドライバーをこじ入れながら円周に沿って動かしていったところ、無事分離することができた。

 

もっとも、追ってエッジ張り替えを行う際、ユニットとともにゴムリングも外すことになると判明したので、結局どちらでもよかったのである。

 


ここまでくればあとは簡単、剥げた部分を中心に、念のため全体にラッカースプレーを軽く噴きかけて作業は完了。

 


エッジ張り替えについては、また次稿で述べたい。