去る七月に青春18きっぷ二枚で四国と中国を周遊したが、その際使用したのは七日分で三日分が残っていた。これを消化すべくまた新たな旅の計画を練り始め、今般は先の四国同様今まで訪れたことのなかった紀伊半島を一周することにした。しかし、名古屋を起点…
宿をチェックアウトする前に、今一度早朝の倉敷美観地区を歩いた。倉敷川から逸れた界隈へ少し入ると阿智神社の急な石段が現れたので、そこを上って参拝。少々苦労して高さを稼いだお陰で、倉敷の町の俯瞰も得ることができた。学生時代に倉敷へ来たときは、…
六日目。朝六時過ぎに宿をチェックアウトし、昨日は高岡通りを辿って来たので、今日は別の殿町・本町・祇園庁の各通りを歩いて駅へ向かった。前日とは逆に朝の些か観光には早い時間帯とはいえ、やはり人の姿が少な過ぎるように感じる。しかし建物の佇まいや…
寝苦しかったわけでもないのに、また朝五時前に目が覚めてしまった。旅の五日目は先ず出雲大社に参拝し、山陰本線を下って益田で少し観光をした後、山口線で津和野まで行きここに泊まる。その山陰本線の列車としては10:21出雲市始発を予定しており、これに乗…
旅の四日目は、四国を離れて本州へ戻り、西日本を縦断――というほど大袈裟なことではないが――して山陽から山陰の出雲市へ出る。前日に続いて観光といえるようなことはなく、移動が主となる一日だ。先ずはJR高徳線高松行に乗るべく、朝6時前に宿をチェックアウ…
7:51発予讃線宇和島行列車に乗るべく、7時過ぎに宿を出、今日も暑くなりそうだと思いながら伊予大洲駅へと向かった。もっとも、この三日目は伊予大洲から徳島を目指してひたすら鉄路を辿り、観光の予定はない。駅構内のベンチに荷物を下ろし、駅舎の写真を撮…
旅の二日目。眠りが浅く、5時前に目が覚めてしまった。この日最初に乗車するのは7時半過ぎの列車、それまで十分な時間があるので、当地でしか食えないうどんを朝食にしようと考えたが、朝型のうどん店が多いとはいえさすがにこの時間に営業を始めるところは…
早朝6時過ぎ、JR茅野駅から中央本線長野行列車に乗り込み、今般の鉄道旅行が始まった。この初日は、四国は香川県高松まで約640km、所要11時間27分(乗車9時間30分)の長旅である。しかしこの乗車は塩尻駅までの三十分弱で、気分的にはここで同じ中央本線の中津…
令和6(2024)年夏の青春18きっぷが発売され、利用期間に入った。かつて多様なものが見られた周遊券がほとんど姿を消してしまった現在、日本を大きく、安価に巡ることのできる数少ない切符の一つなので、これを使っての旅の計画を練ることにした。去る四月に北…
高山には午後二時に到着した。高山駅西駐車場という、名称通り駅の西側にある駐車場に車を停め、駅の自由通路をそこに展示された匠の技に関する品々を眺めながら渡り、線路反対側の観光案内書で観光マップとバス時刻表を入手。時刻表をもらったのは、高山駅…
五箇山(ごかやま)は現在の富山県南砺市にある四十の小集落の総称で、その内の相倉と菅沼の両集落が重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、また白川郷とともに世界遺産にも登録されている。その相倉集落の駐車場へは開場(といってもゲートなどがあるわ…
馬籠宿も一時間ほどで一通り観終えてしまい、時刻はまだ四時前、日もまだ高い。元々は高山までの途上にあるいくつかの道の駅の一つで車中泊を――と考えていたのだが、いずれにせよ明るい内に着くはずで、そこでは別にすることもなく長い夜に苦しむような気が…
江戸時代に整備された五街道の一つ、中山道の六十九の宿場の内、贄川・奈良井・藪原・宮ノ越・福島・上松・須原・野尻・三留野・妻籠・馬籠の十一宿が木曽路にある。はじめはこれらすべてに足を停めようかとも考えたが、必要となる時間の点からこれは現実的…
前々から、車中泊には興味があった。こんなことは、やろうと思えばいつでもできるのだが、却ってそのためもあってかいざとなるとなかなか実行できないまま、気が付くと長い年月が経っていた。それがこのところの旅心の沸き立ちに促され、漸く決行の意思が固…
旅の最終日は、どこへも立ち寄ることなく帰路を辿る。しかし、その一部に只見線の全線乗車を組み入れ、これを大きな眼目とした。会津若松駅に5時45分頃着いた時には既に同駅始発只見線の単行列車は入線しており、その顔をさっと撮影して乗り込むと乗客の姿も…
旅も残り二日となったこの日は、酒田から羽越本線、信越本線、磐越西線を辿って喜多方へ至り、そこでちょっとした観光―というほどでもない町歩きをした後、最終宿泊地である会津若松へと向かう。先ずは酒田駅7:02始発の列車に乗り村上へ。この路線沿いにも、…
旅五日目の目当ては、五能線を辿ることである。当初、それには各駅停車の普通列車を利用するつもりだったが、宿泊地を大鰐温泉へと変更したことで一旦弘前へ戻ることが必要となり、時間的にややきつくなったこともあって、「リゾートしらかみ」へと切り替え…
今回の旅では、特に桜を目当てにしたわけではなかったが、計画を立てる際、もしかしたら―というそこはかとない期待は胸に抱いていた。そして、珍しくこれが現実のものとなったことは既述した通りである。当初、旅の四日目は遠野を比較的ゆっくりと発って弘前…
三日目は、遠野観光に当てるべく設けた、今回の旅で唯一移動のない日だ。前夜は入浴してよく眠り、宿での朝食もしっかり摂ったことで心身とも状態は良好である。遠野は訪れたい多くの名所旧跡が広範囲に散在しているので、レンタサイクルを利用して回ろうと…
旅二日目の眼目は、松尾芭蕉が「おくの細道」の旅において、「山形領に立石寺と云山寺あり。慈覚大師の開基にして、殊清閑の地也。一見すべきよし、人々のすゝむるに依て、尾花沢よりとつて返し…」と土地の人から薦められ予定の道程を変更して訪れた宝珠山立…
茅野駅でJR中央本線甲府行きの到着を待つ。個人的には本当に久しぶりの旅行なので、その出足となる列車の顔を写真に収めておきたい気持ちが少しあったのだけれど、時刻は朝7時半、主に高校生の通学客がホームを埋めており、その中でスマートフォンを構えるの…
去年の一月、ちょっとした用事ができてそれを果たすために列車で長岡へ行った。当地蓼科へ移り住んでから初めての遠出、本当に久しぶりのことだった。これにより胸の奥に潜んでいた旅心が刺激されて疼き出し、元々読むのが好きで既に書棚にあった紀行全集に…
先週襲来した寒波により、蓼科山に隣接するこの地も寒さの厳しい状況が続いた。連日、最低気温は氷点下12℃台に留まったものの、日中もマイナス8℃程度までしか上がらなかったそんな中、折悪しくファンヒーターが故障して使えなくなってしまった。機種はコロナ…
「銀河帝国の崩壊(Against the Fall of Night)」は、ロバート・A・ハインライン、アイザック・アシモフと共にSF界のビッグ・スリーとして数多の著作をものしたイギリスの作家アーサー・C・クラークの初期の作品である。少年時代から天体観測を趣味とし、また…
数年間隔で、映画を観たいという気持ちが心に湧く。比較的時間が自由になる暮らしをしていることもあって、そうなると映画を集中的に見る期間がしばらく続くことになるが、今般またその状況に陥ることとなった。その契機は、ネット上でふと目にした「死ぬま…
「大いなる眠り(The Big Sleep)」は、改めて述べるまでもなく、ダシール・ハメットとともにハード・ボイルド派を代表するアメリカの小説家レイモンド・チャンドラー(Raymond Thornton Chandler)の手になる、長編の処女作である。刊行されたのは1939年…
ONKYO(オンキョー)製スピーカーM55の入手の経緯については、以下の記事に既述したように、元々このメーカーに対する関心があったことに加え、Technics(テクニクス)のプリメインアンプSU-8055と出会ったことで…
一通りの整備を済ませ、音質の印象はしばらくエージングを行なってから――と予告したDENONのプリメインアンプPMA-7.5とONKYO製スピーカーであるが、個人的事情によりそれら紹介が長らくペンディングとなってしまっていた。しかし漸く事情の許すところとなった…
先日の雪は、昨日の雨でほとんど姿を消してしまった。夜に入っても断続的にぱらぱらと降り続いており、外気温はわずかに氷点を下回る程度、予報を見てもさほどの冷え込みはなさそうだったことから凍結防止帯を入れずに就寝した。今朝起きると…
蓼科山の初冠雪を見た昨日の夜、元々極めて静かなのだけれど、いつも以上に森閑としているような感じを覚えた。そして今朝、カーテンを開けると、やはり景色は白く変わっていた…