漸く本当の夏となったようだ。
六月中に梅雨明けが宣され、今年は二ヶ月近くの長い夏になるのか――と思いきや、その後梅雨の間よりも寧ろ雨の多い期間が続いて、結局例年並みの夏の訪れとなった。
平地では相当な暑さとなっているのだろうけれど、この辺りは標高の高いこともあって、夏本番といっても30℃に達することはほとんどない。
ここ三日間も最高気温は25, 6℃ほどで、窓を開けて風を通せば冷房なしで快適に過ごせている。
ただ、日が落ちて外が闇となり、屋内の照明を点けると、それに誘われ虫が寄り、中には網戸の隙間や網目から侵入する奴もいるのでガラス窓を閉めざるを得ないことから、夜間は若干暑さを覚えないでもない。
しかしこの程度のことに不平を抱いては贅沢というものだろう。
この時季は毎日のように午後雷鳴が轟き、激しい夕立に見舞われることも往々である。
午後二時前に散歩へ出ると、今日も遠く中央アルプスの上には白くぎらつく入道雲が既にぎっしりと立ち並んでいた。
それから二時間、当地の周りの山にも雲が湧き、時折日が翳ってひんやりした風がやって来始めた。
さて今宵はどうだろうか。