蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

CDラジカセ SONY CFD-700 DoDeCaHORN CD

先日、ちょっとした探し物があって、遥か昔に梱包した段ボール箱をいくつか開けた際、古いカセットテープが出てきた。

 

捨ててはいないという記憶があり、どこかに埋もれているはずとは思っていたのだが、これを掘り起こす必要性も特になかったため、長らくそのままになっていたのである。

 


往時、レコードは特別な機会にだけターンテーブルへ載せる貴重な存在で、通常はカセットテープに録音して聴き、またFM放送の番組表で目ぼしい曲のかかるのを見つけると、やはりテープに録り(いわゆる「エア・チェック」)、これを主要な音源としていたのは、独り私だけではないだろう。

 

それだけでも大きな懐かしさを帯びている上、内一つは、中学校の最終学年時に、我が二組が卒業記念として企画し、その年に催された学校学級行事の情景や、教示を賜った先生方および親密だったクラス一同のメッセージ音声の吹き込まれたものである。

 

因みに、音頭を取ってこれを制作した奴の影響で、私はオーディオに関心を持つようになった。

 

ただ、その後ほどなくしてCDが世に現われ、当初はメディア・再生機器ともレコード以上に高価だったそれらの値が急激に下がったことで手にするに至り、かつ音楽に対する好みも大きく変化したことから、もう今後聴くことはないだろう――と、カセットテープはお役御免となったのだ。

 


昔使用していたカセットデッキは、回転機構に不具合の出始めたこともあり、テープを仕舞い込んだのと同時期に処分してしまったのだが、今回ふとしたことから姿を見せたテープを眺めながらそんなさまざまなことを思い出しているうち、これらを再生する機器を改めて手元に置きたい気持ちが沸き起こってきた。

 

もっとも、今では他に豊富な音源を所有しているし、中途半端に歳を食ってっしまった現在、記念テープの方も聴くのが何となく気恥ずかしく、これは辞世を覚悟した暁に――という感じなので、仮に装置を入手しても実際に使用する機会はごく稀だろう。

 

 

 

 


こう考えると、先立つものの乏しい現状も相俟って、まず高価な本格品は自ずと視界肢から外れた。

 

続いて、手っ取り早く手頃な新品にするか、中古品市場を物色するかで、取り敢えずネットを眺めたところ、現在もラジカセやテレコの類がそれなりに出ており、しかも価格の安さに驚いたのはいいが、やはりそれらの作りは値段相応らしく、往時、システムコンポながら録音レベルなどを調整して録音したものを再生するには、もう少し上の機器を当てがいたい――という気持ちが強く、結局、例によって中古品で適当なものを探すことにした。

 


あとは機器の種別だが、カセットデッキでは些か大仰すぎるし、価格的にも嵩みがち。

 

一方、ウォークマン・カセットボーイに類するポータブル機器でも用は成すものの、これも過去に名を馳せた機種は今でも人気が高いようだし、上の気持ちがまた頭を擡げてくる。

 

ということで、その中間を取り、ラジカセタイプの機種に白羽の矢を立てた。

 


しかし、ここまで絞っても、依然として膨大な数の中から一つを選ぶのには変わりなく、さらに範囲を狭めるべく、音質をある程度重視したモデルという条件に重きを置いた結果、これまでラジカセを物色した経験のない者に朧気ながら見えてきたのは、ドデカホーンおよびコブラトップというインパクトのある愛称を持つ、それぞれSONYPanasonicの製品である。

 

両者とも、世代やモデルにいくつかのバリエーションはあるようだが、もともと他に細かな拘りを抱いていいるわけではないので、あとは状態と価格を見ながら――と、適当な一品に出くわす機会を待っていた。

 

すると、あるリサイクルショップで、税込み1,800円で陳列されているSONY CFD-700 DoDeCaHORN CDが目に入り、これだ!と直感して購入したのだが……

 


第一印象の正しさの言われることは多いが、今般はその例に漏れてしまい、以後、こいつにはかなりの苦労をさせられる羽目となったのである。

 

20221014-CDラジカセ SONY CFD-700 DoDeCaHORN CD