蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

OTTO DCA-A15その後(2)―修理の試み

これまでの経緯から、OTTO DCA-A15の酷い異音はトグル式ラウドネススイッチの内部が腐食などによりショートしているためではないかと類推している。

 

今般、基板を(四)反転させることに成功したので、ハンダを吸い取り、基板の金属ボードに留められているねじを外せば当該スイッチは容易に分離できるはずだ。

 

20221119-OTTO DCA-A15 ラウドネススイッチ

 

そうした上で分解整備を――と先ず考え、ねじ外しに着手したのだが、ここでまた足止めを食うこととなってしまった。

 


普通の十字(プラス)穴のねじに見えるのだけれど、その形状に癖があるのか、手持ちの何種類かのドライバーのいずれでも回すことができず、そうこうするうちに少なからず頭をなめてしまい、これ以上続けたら完全に潰すことになる、と断念。

 

その後、輪ゴムを噛ませてドライバーを当てる方法のあることを知り、試してみたが、やはり駄目だった。

 


こうまで後から後から障害に行く手を阻まれると半分自棄になり、以前から頭にはあったもののなかなか実行には踏み切れなかった対処が改めて目の前に浮かんできた。

 

それは、ラウドネス回路を切断し、バイパスを通してしまうという手である。

 

 

 

 


一年間このアンプで音楽を聴いてきて、当方の通常の聴取条件ならラウドネスはほぼ必要ないことがわかっているので、この機能のなくなるのは諦められる。

 

問題なのは、果たしてこれで問題が改善もしくは解決するかという点で、さらにそれより懸念されるのはより重篤な症状や事故に繋がるのではないかということだが、そもそも現状でも使用不能なわけで前者は自動的に消え、後者についても、万一の場合はヒューズが防波堤となってくれるに違いない。

 

こう考えて、当該部分のパターンをカッターと四角錐ポンチで切断し、バイパスの足とする部分のグリーンレジストを剥がした上でリード線をハンダ付けした。

 


いずれも熟練したスキルを有しているわけではないので、決して綺麗とは言えない――どころか酷く痛々しい仕上がりとなってしまったけれども、これで問題が解決してくれれば――と願いながら、恐る恐る電源スイッチをオン。

 

幸い発煙や発火、爆発などは起こらなかった一方、結果を言うと遺憾ながら上の期待は儚く散ってしまった……

 


従来通り左チャネルからは音が再生されており、ラウドネススイッチを切り替えても音質が変化しなくなったことから、企図した処置自体は上手くいったと考えられるものの、右チャネルからは相変わらずの爆異音が迸る。

 

つまり、原因は他にあるということだ。

 


これまで書いていなかったものの、ヘッドフォンでの確認でもやはり同じ問題の聴かれたことから、原因はイコライザーアンプ部またはトーンアンプ部に求めるべきことはほぼ明らかゆえ、今一度基板を四反転させたりしてその辺りの素子の様子を重点的に見てみたが、視覚的には異常異変はなさそうである。

 

一つ、イコライザーアンプ部に使われているICのハンダ足から茶色の滲みが出ていたものの、これはフラックスのようで、実際四角錐ポンチで擦ると消え、その処置後の様子からするとここも大丈夫と思われる。

 

20221119-OTTO DCA-A15 イコライザーアンプ部

 


こうなると素子一つ一つの状態をチェックして犯人捜しをするか、もしくは当たりを付けて疑わしいものをごっそり交換するかということになり、繰り返しになるが十分なスキルを具えていない身にはいずれにせよ荷が重く、正直、今は取り掛かる気が起こらない。

 

いま徒に執着するより、将来、スキルが上がるなり修理に対する意欲が燃え上がった時に、改めて挑戦する方がよいように思うし、ともあれこの一年間、懐かしい音を聴けたこともあるので、当面は個人的記念オブジェとして部屋を飾ってもらうことにした。