入手した順番からすれば、先ずSONY CFD-700 DoDeCaHORN CDについて書きたいところだけれど、以下に既述した通り、この製品についてはサブウーファーのエッジ張り替えを行ったので、一応ある程度のエージングをしてからということにし、SANYO(三洋電機) U4-W26(K)の方を前倒ししてその仕様と音質をご紹介しようと思う。
――などと言うのは実は大袈裟で、実はどちらの項目も特記すべき事柄はないのである。
これは同機が音質を重視したオーディオ志向モデルではなく、手軽に使える一般向け普及品であり、私自身、発売時に食指を動かされて入手したわけでもないことから、致し方あるまい。
それを措いて敢えて仕様を書けば、これも既にご紹介したことながら、発売されたのは1990年頃で、当時の流行りを反映してだろう、サラウンド再生機能を具えているのが特徴だ。
スピーカーは片チャンネル当たり二つ、それぞれ9cm, 3cmほどの径のユニットが搭載されており、その大きさからも低域・高域用の2wayに見えるが、どうも小さい方はサラウンド用ではないかと思われる。
カセットデッキ部はダブル構成、しかし録音機能をもつのはこの手のモデルの通例に従い(?)Bデッキだけで、オートリバースやA, B連続再生といった凝った機能も省かれている。
ただ、両デッキともオートストップ機構により、メカニズムはしっかり保護されており、これも普及モデルらしいといえばいえるかもしれない。
ただ、両デッキともオートストップ機構によりメカニズムはしっかり保護されており、またA, B連続再生も可能で、これらも普及モデルらしいといえばいえる点かもしれない。
実は、はじめ主電源が見当たらずに少々戸惑ったのだが、よく見ると機能(ファンクション)セレクタのダビングおよびテープの位置に「切」の文字が見え、これらの状態が電源オフで、残りの二つ、外部入力とラジオの位置へレバーを動かすと電源が入りインジケータが点灯するという仕様となっている。
すなわち、カセットテープを使う際は、これをセットして直ちに巻き戻しなり再生なり目的のボタンを押せばよいわけだが、個人的にはあまりいただけない点だ。
もう一つ、音質調節が一つのつまみで低音側か高音側へ比重を置く形なのも、この手のモデルでは致し方ないのかもしれないけれど、SONYのCFD-700が5バンドのグラフィックイコライザーを装備しているのと比較すると、やはり大きな見劣りを禁じ得ない。
しかも、音量調節つまみと全く同じ大きさ・形状の上、二つ並んで配置されているので、実際何度か操作を誤ってしまった。
仕様はこれくらいにして音質の方へ話を移そう。
先ずは聴き慣れた音源をPCからラインで入力して再生してみての印象はというと、そもそも過大な期待をしていなかったこともあるので、ただ「それなりに鳴ってくれるじゃないか、」と書けば事足りるといったところである。
ただ、これは決して否定的な見解ではなく、肩肘張らずに気軽に聴くのはもちろん、変に粗捜しをしたりしなければある程度聴き込んでも不満を覚えることはないだろう。
この辺りのバランス感覚は流石と言いたい。
なお、上で片チャンネル当たり二つあるユニットの小さい方はサラウンド用らしいと述べたが、この機能をオンにすると幾分高域が強調されるようなので、ツイーターとしても働いているようだ。
オフではこれを控えめに、オンでは強く鳴らしている感じである。
次に、同機入手の主目的であったカセットテープの音を数十年ぶりに聴いてみたのだが、ヒスノイズの大きさに驚いた。
昔はこれを何とかしようと、メーカーはもとより我々ユーザも悪戦苦闘したわけだが、その記憶がよみがえるとともに、それに真剣に取り組んだのも当然との思いを新たにした。
しかし、不思議なもので、しばらく聴いているうちにそのノイズもさほど気にならなくなった。
折角録音機能も具えているので、新品のテープを購入して試みに録音してみたが、やはりレベル調整を自分で行えないのは気持ちが悪い。
そしてその結果から、まっさらなテープを走らせた時のヒスノイズより、無信号で録音を行ったものを再生した場合のそれの方が遥かに大きくなることに気付いた。
記憶は定かでないものの、往時使っていたデッキではこのようなことはなかったように思う。
少なくとも、今般のような顕著なノイズ増加は経験しなかったはずで、レベル調整機能の有無がこれに関係しているのかどうか、ちょっと興味を惹かれる点だ。
単に同機デッキ部の性能の問題かもしれないが……
ともあれ、昔録りためた音源を活かせるようになったわけで、これから少しずつそれらを掘り起こしていくつもりだ。
これをできるようになっただけでも、同機を購入した甲斐は十分と言える。