先に、SONY製CDラジカセ「CFD-700 DoDeCaHORN CD」の劣化したサブウーファー・エッジの交換を行ってから一月余りが経過した。
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何かと慌ただしい時季であることに加え、いつの間にか手元に少なからぬオーディオ機器が集まってこれらをとっかえひっかえ鳴らしていることから、CFD-700のエージングはまだ十分でないような気もするが、そもそもそれほどシビアに聴く機種でもないので、ここでいつものように主な仕様と音質の印象を書いておこうと思う。
まず、仕様については、当時、既に一般に浸透していたCD再生と、未だ健在だったカセットテープの録音および再生を上手く融合活用するための多彩な機能の謳われているのが目に付く。
たとえば、CD録音時に曲間に4秒間のブランクを自動的に入れるオートスペース、CD高速ダビング、CDの編集録音をワンタッチで行えるCDシンクロスタートダビングなどの各機能をはじめ、デッキ部は当然のようにダブル構成、しかもリバース機能を具え、さらにAデッキに続けてBデッキを自動で起動する長時間再生も可能となっている。
また、ノイズリダクションシステムとしてはドルビーNR Bタイプを搭載しており、ハイポジションテープでの録音/再生に対応している。
とはいうものの、このデッキ機能については、既にご紹介した通り遺憾ながら修理に挫折して使用不能なので、当方にとっては絵に描いた餅に過ぎない。
また、37キーを具えたリモコン、キャットハンドコマンダー(RMT-C700)も売りの一つらしいが、こちらも個人的にはほとんど使用することはない。
片や、当方にとって好ましいスペックとしては、第一にチタニウムセンターキャップおよびラジアルカーボンコーンという当時の新素材を採用した10cmフルレンジの両チャンネルユニットに8cmのサブウーファーを加えたスピーカーシステムがある。
そしてこれらの能力を遺憾なく発揮すべく搭載された、ラジカセながら5W+5W+低域15Wという出力を生み出すアンプ部と、音響用パルプ材からなるレゾネーター(共鳴箱)まで具えている点も大きな魅力だ。
また、100Hz、400Hz、1kHz、4kHz、10kHzをそれぞれ中心周波数として調整のできる4連+とDODECA ZONEグラフィックイコライザーも看過できない。
さて、そんな同機からは、上のスピーカーおよびアンプの力量をはっきりと感じられる、ラジカセという機種カテゴリーの枠を超えた重心の低さと解像度の高さを具えた音が奔出する。
無論、ある程度の単体コンポーネントからなるシステムの生み出す音と比較すれば、いずれの印象も決して強いものではなく、また両チャンネルスピーカーの間隔という物理的制約のため、十分な音像の分離・音場の広がりも現出されないけれども、「気軽にそこそこいい音で音楽を愉しみたい」という要求には十二分に応えてくれると思う。
冒頭にも述べた通り、同機は入手時点でサブウーファーのエッジが完全に劣化損壊していたことからその張り替えを実施したが、新たなエッジは元々のラバー系ではなくウレタン製のものにした。
その理由は、扱いの容易な水性接着剤が使えることと、低音には粘りよりも切れを求めたいとの思いがあったからである。
しかし反面、せっかくのサブウーファーの音が軽くなりすぎるのではないか――との懸念も胸に蟠っていたのだけれど、幸いこれは杞憂に過ぎず、切れと粘りのバランスの取れた低音が再生され、至極満足できる結果となった。
張り替えにおけるちょっとした失敗も問題ないようで一安心だ。
もう一つ、同機も両チャンネルユニットの裏には剥き出しの基板が配置されており、これを目にしてしまうとどうにも気持ちが悪かったことから、吸音材として適量の綿を入れたが、これもいい方向へ作用したように思う。
――と、今年も少なからずジャンクオーディオに現を抜かしてしまったけれど、来年も何だかんだとこの状態が続きそうだ。
みなさん、どうぞよいお年を。