蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

旅心の呼び水

ちょっとしたきっかけにより、それに繋がる事物や事柄に対する関心興味が急激に高まることは、誰もが経験することだろう。

 

個人的なことを言えば、二年ほど前、ふと真空管による再生音を聴いてみたくなり、軽い気持ちで五千円ほどのプリアンプを購入したことが契機となり、遥か昔の一時期に心に点ったオーディオ熱が再び燃え上がって、次から次へと機器を購入する羽目となったことは、当ブログの「音楽・オーディオ」カテゴリーに溜まった少なからぬ記事が如実に示している。

 


そして今また、新たな領域からの誘惑が、この愚かなる魂へと魔の手を伸ばして来て、それに抗えなくなってしまった。

 

その呼び水となったのは、これも記事として上げてある、先の小さな長岡旅行である。

 


元々旅行は好きな方で、学生時代は勿論、社会人になってからもさまざまな形で少なからぬ所へ足を向けたものだが、ここ蓼科へ移ってからはほとんど出ることがなくなっていた。

 

それが先日、所用のついでに、長岡へゆっくり向かいながら車窓からの眺めをのんびり愉しんでみよう――という、やはりちょっとした思い付きを実行した結果、芭蕉翁を気取るつもりはないのだけれど、「漂白の思ひ」が急に胸に湧き上がってきたのである。

 


とはいえ、それに誘われてふらりと旅に出るには、先立つものが覚束ないし、長らく離れていたので旅行に対する感覚も鈍っており、オーディオなどまだまだ現を抜かしたい対象も多く、さらに今の時季、いつまた寒さの急襲があるかもしれず、しばらく家を空けると凍結による被害を被る恐れもあることなどから、なかなか実行に踏み切れない。

 

こんな状況において、疼き出した旅心を上手く鎮める手立てはないものか――と考えて頭に浮かんだのは、紀行・旅行の映像作品や書籍を観たり読んだりするという、ごく単純なものだった。

 

 

 

 


もっとも、紀行に関する書籍は既に多数書棚に並んでいる。

 

「ヘディン探検紀行全集」「西域探検紀行全集」「世界紀行文学全集」「現代日本紀行文学全集」「紀行全集世界体験」といった大部の全集をはじめ、鉄道紀行の嚆矢たる内田百閒の「阿房列車」シリーズ、これに続く阿川弘之「南蛮阿房列車」もあり、さらにその後を追った宮脇俊三のものとして「鉄道紀行全集」の電子書籍版はPCに収まっているのだ。

 

そこで映像を優先することにしたものの、この手の新品はかなり高額なので、例によって物色対象は自ずとレンタルもしくは中古品へ向かい、ここであれこれ探索したところ、どちらにおいても少なからぬタイトルを見出す結果となり、逆に絞り込む必要性が生じるほどだった。

 


一見、レンタルの方が安く上がりそうに思えるが、中古品でもこの手のものにはあまり需要がないらしく、送料を含めても驚くほど安く入手できる場合があり、特にビデオテープはこれが顕著だ。

 

そんなわけで、気分の高揚と相俟って、ふと気付くと大量のDVD・VHSテープを購入してしまっていた。

 

20230303-旅心の呼び水

 

上の画像はその一部で、現在我が家には、100本以上の品が散らばっているのである。

 


糅てて加えて、書籍の方も、薄れてしまったであろう旅行勘を取り戻すべく、ややノウハウ色を含んだものを古書でまとめ買いした。

 


今般の獲物についてもいずれここに取り上げたいと思っているが、これらを観たり読んだりする前に、先ずどう整理すればよいか……実に悩ましいところである。