蓼科高原日記

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プリメインアンプ TRIO KA-5300―機種選定から入手まで

今般、テクニクスSU-8055とダイヤトーンDS-251というプリメインアンプ・スピーカーの組み合わせが実に素晴らしい音楽を聴かせてくれたことから、1970年代のオーディオ機器に対する関心が高まり、もう一つくらいこの時期のアンプを手元に置きたくなった。

 

時代がここまで古くなると、私がそもそもオーディオに初めて関心を抱いた時点より過去へ遡るため、ほとんど不案内である。

 

そこでネット上の記事などをつらつらと閲覧し、取り敢えず感じだけは掴んでおくことにした。

 


その結果先ず気付いたのは、この時代のアンプの大きな特徴として、IntegratedアンプでもVUメータを搭載したものの目立つ点である。

 

しかしながら、このタイプは中古市場において人気が高いようで、発売当時の普及モデル、しかも状態の思わしくない個体でも結構いい値で取り引きされていることがわかったため、視野から外すことにした。

 


もう一つ、これも同じく外観の意匠について。

 

よく知られているように、国産アンプの顔立ちは1980年代中頃から黒一色となるが、その前、80年を挟んだしばらくの期間は、銀色、それも金属光沢を抑えたパールシルバーの製品がずらりと並んだ。

 

なぜ日本のメーカーはこれほど仲良く横一線になろうとするのだろう――との疑問は今は措くとして、1970年代においては、アルミなどの光沢をそのまま前面に出したメタリックな面構えをしたアンプが実に多いということに思い至った。

 

 

 

 


一方、肝心の音質に関しては、他のあらゆる時代と同様、各社それぞれもっともらしい方式や機構を謳ってはいるものの、やはり実際に再生音を聴いてみなければわからない。

 

かと言って現在それを直接体験することは無理な話なので、果してどれだけの意味があるかはわからないが、とにかく傾向だけでも――とyoutubeに公開されている動画を眺めてみた。

 


この際にもう少し選択範囲を狭めることにし、さてどこの物を――と考えた末、新たにまたアンプを入手するならメーカーに関してもバリエーションを持たせたいとの思いから、手元になく、当時普及品の領域で名を馳せていたと思われる二社、パイオニアとトリオのモデルに絞った。

 

そして動画から得たのは、繊細優美なパイオニア、豪放磊落なトリオという印象で、個人的に現在はジャズを聴く機会の多いことを考えると後者の方が適するように思われたため、今回は後者に注目。

 

ネット上の情報によると、同メーカーの当時名を馳せた主力機はKA-7000番台、8000番台のようだが、当方にとってはグレードが高すぎるので除外し、KA-3000番台および5000番台をターゲットに据えて適当な個体との出会いを待つことにしたところ、暫くしてあるリサイクルショップに3000円の値札とともに陳列されているKA-5300を目にした。

 

KA-3300という型番はネット上で何度も目に付いたものの、5300というのはあまり見た覚えがない。

 

しかし型番やデザインからは兄弟機に当たるものと思われた。

 

それより気になったのは、右チャネルからの出音がなく、左からの音も不安定――という状態で、これを考えると付されている価格もやや高い印象を禁じ得なかった。

 

しかし、先のSU-8055でも奏功した奥の手もあることだし、何よりその質実剛健な面構えが捨て難い魅力を放っていたことから、半分衝動的に購入してしまったのである。

 


さて今回の獲物は、この先どんな物語、そして音楽を味わわせてくれるのだろう。

 

20230420-TRIO KA-5300