鉄道の黎明期から近年に至るまで、ある程度の連続性をもってその栄枯盛衰を辿れるよう、時代ごとの時刻表を手元に置きたい――と考えて手頃な価格で中古市場に出てきたものをぽつぽつと購入し始めたことは既述した通りである。
その鉄道時刻表については、JTB(日本交通公社)版と、いわゆるJR時刻表が双璧を成してきたことは前から認識していたが、収集に当たってはどちらかに統一する、といったことは特に意識しなかった。
したがって、これまでに集まったものの中には、当然ながら両者が混在している。
もっとも、サイズに関しては1980年以前の古いものの復刻版を除き、すべてB5版だ。
確か、もっと小さな、携帯に便利なものもあったはず、ということが頭に浮かび、続いて、これがJTB版およびJR時刻表においてどのような位置付けとなっているのだろう、ということが気になり始めたので、ネット上で少し調べてみた。
その結果、先ずJTBの時刻表については、現在、標準版であるB5サイズのものの他、「小さな時刻表」と「大きな時刻表」が発行されていることがわかった。
さらに、これらはすべて同一内容であること、すなわち小さな時刻表は標準版を縮小したもので、反対に拡大されたものが大きな時刻表であることも知った。
ただ、標準版が月間なのに対し、小さな時刻表は季刊、大きな時刻表に至っては年刊という違いがあるようだ。
以上は現在の状況であるが、中古市場を眺めていると、同じJTBから刊行された小サイズ版でも、古くは「全国小型時刻表」「携帯時刻表」といったものもあることに気付き、こうなるとこれらと現行時刻表との関係にも興味が湧いたため、発行時期とともに種別にも意識を向けたところ、小さな・全国小型そして携帯と、これまで目にした種別のものはすべて入手することができた。
三者を一見して誰でもすぐ気づくのは、大きさに微妙な差のあることだが、もう一つ、発行時期には重なり見られず、小サイズの版は時代により変遷しているらしいのである。
この点については別途調査するとともに、それぞれの時刻表に掲載されている内容やその体裁についても今後見ていくつもりである。
もう一つのJTB版、大きな時刻表は、他のものに比べオークションなどで目にする機会が遥かに少ない。
これは年刊ということを考えれば当然だろうけれど、幸いぽつんと安価に現れた一つを購入できた。
こちらはA4版、ということは事前に知っていたものの、現物を目にするとその大きさに圧倒される。
これは到底旅行に携行できるものではない、と思った反面、しかし路線図はかなり見易いはず、と巻頭をぱらぱらとめくってみても、どこにもそれが見当たらない。
まさか切り取られてしまったわけではなかろう、と思いながら矯めつ眇めつしている内、カバーに『便利な別冊付録「大きな索引地図」』なる文言のあることに気付いた。
すなわち、この号は路線図が別冊となっており、私はそれの欠けた一品を購入してしまったわけである。
路線図を主眼に置いていたわけではないものの、やはり些か残念ではある……
JR時刻表のバリエーションについては、新たに記事を起こすことにしよう。