令和6(2024)年夏の青春18きっぷが発売され、利用期間に入った。
かつて多様なものが見られた周遊券がほとんど姿を消してしまった現在、日本を大きく、安価に巡ることのできる数少ない切符の一つなので、これを使っての旅の計画を練ることにした。
去る四月に北海道&東日本パスで東北を一周し、六月には車で中部地方をやはりぐるりと走って来たことから、今般目は自ずと西日本へ向いた。
加えて、これまでそれなりに長く生きてきたけれども、まだ四国を訪れたことのないことを鑑み、瀬戸大橋を渡って彼の地へ足を踏み入れることを筆頭の目当とすることにした。
ここまではすんなりと決まったのだが、改めて述べるまでもなく青春18きっぷは一日乗り放題が五日分セットになったもので、当地から四国への往復に二日分を使うと残りは三日分、これを四国だけを周るのに使うのではこのきっぷの利点を十分に活かせないことに気付いた。
それならいっそ――と少し欲張り、ついでに山陽・山陰へも足を伸ばすことにしたのだが、そうすると今度は逆に五日では些か寸足らずな旅になってしまう……
そこで、青春18きっぷを二枚、すなわち十日分手配することにした。
こうなると可能性は大きく膨らみ、うまく按配すれば西日本の大方の鉄道路線を乗り潰せるかもしれない。
が、こんなことを目指してはまるで鉄道マニアのようで、恐らくほとんどどこも観ることはできないだろう……
さらに、ここ十五年間、高地で本格的な暑さとは無縁な暮らしをしてきた身が、十日間の真夏の旅に果して耐えられるだろうかとの不安も覚えたことから、四月に経験したのと同じ七日間の日程でプランを練ることにして、次を案出した。
すなわち、趣のありそうな路線を含めて鉄道で巡り、高松・伊予大洲・徳島・出雲市・津和野・倉敷の各地(駅)でそれぞれ一泊し、それら宿泊地での観光の他、列車の接続の際に生じるまとまった時間を利用してのいくつかも加えるというものである。
先の東北周遊に比べると同一地での連泊がない上、青春18きっぷの旨味を活かすため毎日の乗車時間も多くなり、毎日早朝出立して次の宿泊地へは夕方に着くのが基本となるる。
しかし却って最も暑い時間帯に歩き回ることは自然と避けられるし、昼の長い時季なのでこれでもそれなりの観光を組み込むことができる。
こう考えるとなかなかバランスの取れた計画ではないか――
そんな自負を胸に、七月下旬に実行に踏み切った。
その顛末をまた、備忘録を兼ねて以後いくつかの記事にまとめてみたい。