蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

函館本線を辿り、長万部を経由して小樽へ

北海道に入って二日目、早朝に起きて窓から外を見ると、湿った雪が重く降っていた。

 

この日は函館本線を辿って小樽に至る予定だが、朝食を済ませても乗るべき列車にはまだ間があり、夕暮れ時と朝、それぞれの景色を対照させてもみたかったので、今一度近くの名所を観ておこうと宿を出た。

 

が、陽射しがあればともかく、いずれも灰色の空の下では、当然と言えば当然ながらはっきりしたコントラストは感じられなかった。

 

これには些か落胆したものの、各景物がより強く胸に印象されたことは確かだ。

 


宿から駅までも市電などには乗らず徒歩で。

 

その際にもあちこちに目を向け、写真も少なからず撮ったため、思いの外時間を要してしまった。

 

函館駅の手前の朝市を通り抜ける際には何度か呼び声がかかり、立ち寄ってみたい気持も胸に萌したけれど、遺憾ながら見合わせざるを得なかった。

 


今日から使用する北海道&東日本パスを自動改札機に通してホームへ向かうと、既に列車は入線しており、進行方向に向いた4人掛け・2人掛けの座席は埋まってしまっていた。

 

ロングシートの一画に腰を据えて待つこと少時、定刻の発車時には座席はすべて埋まり、立ち客もちらほら。

 

しかし新函館北斗駅で多くの乗客が降りてロングシートには空席が生じ、ローカル線の風情が濃くなった。

 


やがて大沼――の凍結した上に雪の積もったらしき白い平原が車窓に現出。

 

この路線で愉しみにしていた景色を眺めているうち、大沼公園駅で2人掛けシートを占めていた人が下車したので、そこへ移って以後の鉄路を辿った。

 

20250412-(1)大沼

 


9時半過ぎに森駅へ到着し、20分ほどの長い停車である。

 

車外に出てプラットフォームをぶらぶら歩いて座席へ戻ると、先に降りた何人かが手に手に何かを持って帰って来た。

 

これを目にして、この駅が「森のいかめし」で知られることを思い出したが、もう後の祭りである。

 

もっとも全く空腹は感じていなかったし、悔やむ気持はほとんどなかった。

 

20250412-(2)森駅

 


その後は反対側の車窓に広がる内浦湾を、ロングシートに座を移して眺めたりしながら過ごし、11時前にこの列車の終点長万部駅に到着した。

 

 

 

 


次に乗る倶知安行き列車の発車時刻までは一時間半弱あり、ここで昼食を摂るつもりだったが、まだ少し早い。

 

そこで海岸へ行ってみることにして駅の前から線路に垂直に延びる道へと足を踏み出すと、数分で眼前に海原が広がった。

 

「静止した景色はどんなに美しくとも長く観ていることはできないが、動きのあるものはいつまでも飽きることなく眺めていられる」という意味のことを椎名誠氏が度々書いているが、寄せては返す波を前にするとその言葉がなるほどと首肯される。

 

しかしこの時は、混雑する前に食事を済ませておいた方が良かろうとの考えから、15分ほどで切り上げてさてどこで――とGoogleマップを参照したところ、「天ぷら店・幹」がすぐ近くにありかつ良さそうだったのでここに向かい、えび天そばを食した。

 

元々あまりゆったり滞在する性質の店ではないし、正午になって客も次々に入ってきたことから速やかに表へ出た。

 

が、まだ次の列車までは長い間があるし、駅へ戻っても特にすることはない。

 

となると自然足はまた海へと向かい、今度はかなり長時間、雲間から零れる陽射しによりさまざまに変わる表情を、海岸に沿って少し歩いたりしながら思う存分眺めた。

 

20250412-(3)長万部海岸

 


再び函館本線の列車の乗客となり、倶知安駅に着いたのがほぼ15時。

 

次いで同じ路線の別列車に乗り継ぎ、この日の目的地である終点小樽駅には16時半に到着した。

 


小樽を訪れたことは過去に何度かあり、それらの際に色々と観光もした。

 

それに今回は旅程の都合からここの滞在時間が十分に取れないので、雪を纏った運河沿いのそぞろ歩き、できればガス灯の下でのそれをほぼ唯一の目当てとして、駅を出て真っ直ぐそこへ向かった。

 


雨は時折ぱらつくだけながら、前日の函館同様空は鉛色の雲に閉ざされている。

 

しかしまだ日没時刻になっていないためか、運河に沿って立ち並ぶガス灯は点されていない。

 

本来ならこれを待ちたいところだが、自宅のある蓼科よりずっと気温は高いにもかかわらず酷く寒さを覚え、体調を崩しては先の旅路が大変との自重から諦めることにした。

 

20250412-(4)小樽運河

 


宿まで直接歩けない距離ではないけれど、より楽な、小樽―南小樽間を列車で行ってから歩くことを選択。

 

宿への道中にあった「コープサッポロ小樽南店」へ入ると、長万部で買おうかと思いながら見合わせたかにめしが二種、いずれも値引きされていたので、今夕食と翌朝食用に購入し、この日泊まる「Little Barrel」に辿り着いたのは18時頃だった。

 


この「Little Barrel」も前夜宿泊した「HakoBA 函館」と同じく、一般の客室の他にベッドのみの提供もしており、ここでも後者を選んだが、ちょっと贅沢をして二段ベッドではないSingle Bedにした。

 

上が閊えていないため立つことのできるのはいい。

 

ただ、出入り口はベッドの短辺、足の方からで、長辺に沿ったスペースはなく、身を横たえるにはベッド上を這って行くことになる。

 

二段ベッドとの価格差が大きくないことを考えれば、致し方なしか。

 

パブリックスペース(食堂)の居心地も悪くはなかった。