マラッカからクアラルンプール(KL)へ移動する前に、近くの人気店で朝食を摂ろうと宿を出たものの、着いてみると休業。
よく考えたらムスリムの休日である金曜日だった。
KLへはBusOnlineTicket.comで予約しておいたKejora Masyhur Sdn Bhdという会社のバスで向かう。
余裕をもってそれに乗れるよう早めに宿をチェックアウトし、市バスを利用してターミナルには一時間前に着いたが、係員に指示された乗り場と電光掲示板に表示されるものが相違しているようで不安に思っていると、やはり乗り場に変更があり慌てることとなってしまった。
さらに、乗車後もGoogleマップでバスの走行位置を確認していたところ、KLから逸れる方向へ進路が変わり不安再燃。
ただ、その先を地図上で辿ると有名な観光地であるスレンバンがあったので、おそらくここに立ち寄るのだろうとの予想通り、そこから元のルートへ復帰し、KLのバスターミナルTBSへは午後一時頃に到着した。
ここからKLIA Transitとモノレールを乗り継ぎ、この日の宿のあるブキ・ビンタン地区を目指した。

そのKLIA TransitのBandar Tasik Selatan駅はTBSに隣接しているはずだが、案内表示を見てもはっきりせず、スタッフらしき人に尋ねて漸く埒が明いた。
東南アジアにおけるこの手の案内を分かり難く感じるのは私だけだろうか。
実際、KLでのモノレールへの乗り換えでも少々手間取った末、何とかImbi駅へ辿り着いた。
地図によると宿までは徒歩5分ほどである。
しかし先のマラッカでの例があるので楽観はできまいと自らに言い聞かせて足を踏み出して間もなく、中華系の食堂が目に入った。
さほど空腹は感じていなかったのだけれど、万一の場合に備えて腹ごしらえをしておいた方が良かろうと、ここでまたワンタン麺の昼食を摂った。
さて、Googleマップに従って宿の場所へ着くと、予想外に立派なホテルが建っており、名称も予約したものとは違っている。
しかし屋号が突然変わることもないとは言えないかもしれないだろうし……などと何とも貧弱な理由を付けて自らを鼓舞し、そこのフロントスタッフに予約票を示し、「この宿はここですか?」と間抜けな質問をしてみたが、案の定答えはNo、かなりばつの悪い思いをしてしまった。
では当方の予約した宿は――となると、そのフロントスタッフも知らず、「この先の方にゲストハウスなどの集まっている場所があるので、そっちへ行ってみたらどうか」とのアドバイスに従ったのだけれど……
もしかしてまた、と胸にむくむくと湧いて来た嫌な予感は的中し、マラッカに続きここKLでも宿の在り処を探す彷徨を強いられることとなってしまった。
マラッカの時に比べれば探索範囲は狭かったものの、同じようにあちこちで尋ねながら歩いていると、ミニスカートをぴっちりと履いた露出度の大きなお姉ちゃんたちのずらりと並ぶ一角に行き当たり、数歩歩くごとに寄って行かない?と声がかかって困った。
何の客引きかと思ったらいずれもマッサージである。
実に如何わしい雰囲気だったが、後で調べたら別段その類のサービスではなく、顔や手足のごく普通のマッサージであることを知った。
件の格好は鼻の下の長い客を誘き寄せるためらしい。
マッサージはあとで、今はここを探しているんだけれど……と言ったか言わぬか、お姉ちゃんたちにも聞いてみたところ、この通りの先にレストランがあってその上階だったように思う――と教えてくれたので、取り敢えずそっちへ歩を進めた。
すると歩道まで客の溢れている一軒が向こうに見え、それにしても我が今夜の寝床はどこだろうと考えながらその前を通り過ぎる際、何気なく目を上げると、そこには宿の画像で見覚えのある文字が記されていた。
まさかこんな繁盛している店の上に宿があるとは夢にも思わず、何度この前を行きつ戻りつしたことか。
因みにここは、はじめに目を付けたホテルから、道を挟んですぐのところだった。
個人的に、大都市にはあまり興味がなく、KLでも特に観光は考えていなかった。
ガイドブックによるとこのブキ・ビンタン地区はKLの銀座的場所らしく、確かにそのメインストリートであるブキ・ビンタン通りは華やかながら、そこから少し離れると如何にもアジアといった雰囲気が濃厚に漂っている。


宿の在り処を探して歩き回っている内にこれを体感しただけで収穫は十分だったが、最後に日の傾くのを待ち、屋台や手頃なレストランの並ぶアロー通りへと繰り出し、クアラルンプールを締め括った。
