二泊するこの地の宿は、少し奮発して水上コテージを取った。
と言っても一泊1500円ほどである。
当然川沿いに位置するわけで、カンチャナブリ駅を出て線路に直交する方向、クウェー・ヤイ川を目指して進み、地図通りに宿に辿り着くことができた。

チェックインを済ませて部屋に荷を解き、少し休んだ後、散歩がてら必要な物を調達しておこうと外へ。
セブンイレブンで飲料などを購入するとともに、その近くにあった食堂でガパオライスをテイクアウトした。
先のマレーシアでもそうだったが、持ち帰りを希望する場合、take-outではなかなか理解してもらえず、take-awayの方が一般的で、これはその後訪れたラオス、カンボジアでも同様、ただベトナムだけは前者の方が通じた感がある。
宿に戻ると既に日は沈みかけており、時刻的にはやや早い気もしたけれども、テラスでクウェー・ヤイ川を眺めながら温かい夕食を摂るのもよいだろうとガパオライスをすぐに開いた。
部屋にエアコンはなかったものの、網戸を張った窓を開ければ川面を渡る風が入り、快適な睡眠を摂って翌朝は6時半に起床。
時差と緯度の関係から、マレーシアより明るくなるのが随分と早い。
朝食を調達するため取り敢えず昨日の夕食を買った店の方へ歩いて行くと、途中に早朝マーケットのようなものが開いており、そこで売られていた野菜炒めをビタミン補給に良かろうと購入。
さて主食の炭水化物はどうしようかと思いながら踵を返すと、すぐにライスの屋台に出くわして問題は解決した。
朝食後、衣類の洗濯を宿に依頼。
午後に仕上がるというのは自然乾燥させるためだろうと踏んだが、実際その通りであることがわかった。
カンチャナブリの滞在では、さらに列車で線名ともなっているナムトクまで行ってみようと考えていた。
しかしペナンで罹患した風邪の症状がまだ若干残っていたし、またクウェー・ヤイ川をゆったりと眺める時間を確保したい気持ちから列車への乗車は取り止めた。
ただ、映画「戦場にかける橋」のモチーフとなったクウェー川鉄橋だけは見ておきたく、洗濯物が乾いたら出かけることにした。
昼過ぎ、干されていた洗濯物を取り込み、さてそろそろ散策へ――と何気なく窓の外へ目をやると、水面にぽつぽつと波紋が生じ始め、見る間に土砂降りとなってしまった。
到底出ることはできないため、昼寝で時をやり過ごすこと暫し、午後2時半に雨が止んで漸く外出が叶った。
クウェー川鉄橋までは徒歩で行ける距離だが、やはりただ往復するだけでは芸がない気がする。
そこで古い町並みが残るとガイドブックに紹介されている反対方向へ足を向けると、こんなところに店を開いて客など来るのだろうかと思われる屋台が目に入り、試しにソーセージ様のものと魚の練り団子の串揚げを購入して軽い昼食とした。
続いて関帝廟、タイ仏教寺院などを見ながら旧市街を通り抜け、ちょっとした観光名所となっているらしいガラスの橋、スカイウォークの袂まで来たが、川に沿った観光のための橋に料金を払ってまで上がる気にはならず、ソンテウ乗り場へ向かった。

セーン・チュト通りに出て、ガイドブックの地図に記載された地点に来たものの、乗り場を示すものは何もない。
すぐ目の前のクリーニング店で尋ねたところ、「そこでよい」とのことで待つうち、ふと注意を怠った隙に一台を見逃し、続いてやってきた車に手を挙げたがあっさり無視されてしまった。
さらに10分ほど待ってまた一台、今度はかなり大袈裟に手を振ったにも関わらず、やはり速度を落とすことすらなく通過してしまった。
後ろを振り返るとクリーニング店で二人の姉さんが大笑いしている。
こちらも苦笑するしかなく、次こそはと身構えて待つこと暫し、四台目のソンテウが現れた時、店の姉さんが隣へ来て手を挙げるとすんなりと停まった。
彼女に礼を述べ、運転手にクウェー川鉄橋に行くことを確認して荷台へ乗り込むと、そこは下校途中らしい高校生で満杯だった。
ここで降りろと指示された場所から鉄橋までは500メートルほど、そこへ向かって線路沿いに進んでいくとナムトク方面から列車がやってきた。

さらに鉄橋に着いてその上を歩いているうち、今度はトンブリ方面からの列車の到着(やや遅れ)となり、退避帯からその光景を目と画像にしっかり焼き付ける事が出来た。

最後に向こう側までを橋を渡りきって目的は完遂である。

帰路につく前、マレーシアでも気になっていたココナッツジュースを飲んでみたが、さほど咽喉の渇きを覚えていなかったせいもあってか、正直あまり美味くはなかった。
タクシーの客引きを断って徒歩で帰路をたどり、前日と同じ店で今度は豚のひき肉入りタイ風オムレツをライスに載せたカイジャオ・ムーサップを買って宿へ戻り、また暮れなずむ川を眺めながら夕食を摂った。