蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

儚いドローン体験

前々から、ドローンには少し興味があったのだけれど、数年前、どのような機種・製品があるのかをちょっと眺めた際には、その価格が興味と釣り合わず、購入には至らなかった。

 

それが先日、ふとしたことからまた何気なく目を向けたところ、数千円で入手できるものも数多く出てきていることを知り、これくらいの出費ならしてもよいだろう――と、一つ入手してしまった。

 

モデル名はSG107とのことだが、メーカーは不明、無論本格的なものではなく、中華製トイドローンである。

 

20220428-ドローン

 


そもそも、冒頭に書いたように明確な利用目的や深い関心があったわけではなく、敢えてしてみたいことを挙げれば、簡単な飛行操縦と、鳥瞰およびその撮影といった程度だったので、トイドローンでも十分と考えての購入だった。

 

実際、購入品はダブルカメラを具えたもので、いずれの興味も問題なく満たせるものと思っていたのだが、届いた品を開梱し、販売店が親切に作成してくれた説明書に目を通したところ、「操縦機による撮影・録画は非対応」だという。

 

それではカメラ搭載の意味がないではないかと他の部分を読むと、「カメラ機能はスマートフォンにアプリを入れることで可能」と書かれている。

 


では早速そのアプリをインストール――といきたいところだが、当該アプリに対する評価が極めて低く、さらにこれもまた中華製ゆえ、妙なことをされるのではないかという懸念を禁じ得なかったことから、既にお役御免となってSIMカードも抜いてある、Android4.4の古いスマートフォンWifi経由でアプリを入れ、これを操縦機として利用することに。

 

ところがこれを実行に移したものの、なぜかそのアプリが「起動できません」なのである。

 

仕方ないので、同様のドローンコントロール・アプリの中から評価の高いものを選び、それを現役のスマートフォンに入れてみたところ、こちらは「ドローンが対応機種でない」と弾かれてしまった。

 

 

 

 


そこで鳥瞰と空撮は一先ず措き、ドローンを付属の操縦機を使って飛ばしてみることにした。

 

初めは屋内でかなり慎重に飛ばしてみたのだけれど、自由に飛行させられる空間は狭く、何度か衝突の憂き目を見た。

 

やはり広いスペースが必要、と外へ出て、適当な空き地で飛行させると、さすがに気分的にはぐッと開放的になったのだが、わずかの風にも影響されてこれが飛行を妨げることが判明。

 

しかも、それは操縦技術でカバーできるような支障ではなく、たとえば全力で前進させようとしても、感じるか感じないか程度の風で後ろへ押し戻されてしまうといった類のものなのである。

 

こうなると、完全に静穏な日を狙うか、もしくは体育館やホールのような広い屋内スペースで飛ばすほかなく、購入価格を考えれば致し方ないかもしれないが、当初目論んだ空撮など論外だ。

 

かと言って、どちらの条件もそうそう満たされるものではないので、できるだけ風の穏やかな日を選んで、これまでに何度か飛ばしてみたものの、やはりほとんどの飛行において、何らかの形で風に操縦を邪魔される。

 

そして今日も同じ事例の一つが生じ、危険を感じて不時着を試みたものの手遅れで墜落を来たし、運悪くそこが岩の根方だったため、回転するプロペラがそこに当たってしまった。

 


一見したところでは特にダメージは認められず、再飛行のためプロペラを始動してみても問題はなさそうだったので、いざ離陸、と操縦桿を上げたところ、先に岩に当たったプロペラからの揚力が足りないらしく、ドローンはその方向へ地上を這いずるだけ。

 

そこで再度プロペラの装着部分をよく確認すると綿のようなものが巻きついていたので、これが原因だろうと楽天的に考えたが、それを除去しても状況は変わらず、それ以上の飛行は諦めた。

 

家へ戻って、飛行不能となった原因を突き止め、できればそれを除去すべく、プロペラを外しアームを分解してみたものの、異物による回転阻害などは認められず、どうやらごくわずかな軸のずれといったことが元凶らしい。

 

こうなっては、その測定装置や調性器具を持ち合わせていない身には手の施しようがない。

 

今回利用した販売店はかなり良心的らしく、「修理費用は無料」と謳っているが、「ただし部品代は必要」とある。

 

それにもちろん、往復の送料も掛かるわけで、本ドローンの仕様や性能を考えると、そこまでして――という気持ちが現在優勢なため、このままお蔵入りとなりそうだ。

 


「現在は200g未満のドローンには航空法が適用されない(しかしまったく制限がないわけではない)ものの、2022年6月20日以降、屋外を飛行させる100g以上のドローンはその登録が義務となるようだが、さてその登録はどうしようか、」という、購入時に抱いた悩みは無用となり、また、「ある程度飛ばしてみて、興味が満たされたら売却してもよかろう、」との目論見もご破算になってしまった。

 

何とも儚いドローン体験だったというほかない。