相変わらず空には雲が居座っているが、雨の心配はなさそうだったので久しぶりに辺りを歩いた。
その雲に日が遮られていることもあり、長袖で歩いても暑さを感じることはなかった。
そして、あちらにもこちらにも蜻蛉の姿。
特に、ちょっとした林へ入ると、その数は一層、各段に多くなる。
家に戻ると、バルコニーの欄干にも三匹。
写真を撮るためそッと窓を開けたのだけれど、右端の蜻蛉と並ぶようにとまっていたタテハチョウはさッと逃げてしまった。
上の画像の情景(三匹の蜻蛉、お分かり頂けるといいのだが……)は静穏だったものの、蜻蛉にも縄張り意識があるらしく、他の蜻蛉が近くへ来ると飛び立って追い払う。
特に、やはり梢が特等席らしく、そこを確保した奴はほとんどとまっている暇がないほど敵の迎撃に忙しい。
下はそんな一匹の束の間の休息である。
しかし、これほどの蜻蛉が、一体どこで発生しているのだろう。
ここは山の斜面で、蜻蛉の幼虫であるヤゴの住めるような水場は見られないから、考えてみると不思議である。
大雨の後など、一時的に枯れ沢が瀬となることはあるものの、そこが生誕地とも思えない。
以前にも書いたように、この辺りは夏の到来とともに蜻蛉が姿を現す。
この事実からすると、蜻蛉が秋の使者とは言い難い感もあるが、夏に、既に秋の気が交じっていると考えれば、強ち撞着でもないようだ。