蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

OTTO DCA-A15の出力不良問題

OTTOのプリメインアンプDCA-A15の右チャンネルから音が出力されなくなって半月が経過した。

 

この間、手を拱いていたわけではなく、その原因についてあれこれ調べてみたのだが、遺憾ながら「これ」といったものを見出すことはできなかった。

 

VICTOR A-X900の時と同様、リレーの接触不良であれば、一度対処を経験しかつ成功を収めているのでありがたいのだけれど、そもそもDCA-A15はリレーを搭載しておらず、同じ手で二匹目の泥鰌を獲ることはできないのである。

 


そんな中、可能性のある原因として、ハンダのクラック、すなわち割れによって出音のなくなることがあるとの情報を目にしたので、他に手もないことゆえ、物は試しとハンダの付け直し、いわゆる再ハンダを行ってみることにした。

 

もっとも、これを実施するに必要な機材は持ち合わせていないため、先ずはその調達であるが、どのようなものを選定すればいいのかも分からず、またしてもそれを調べるのに少なからず時間を費やした上で、取り敢えず次の手頃な3点をAmazonにて購入した。

 

白光(HAKKO) BLUE SET プリント基板/電子工作用はんだこてセット 30W FX510-01
白光(HAKKO) こて先クリーナー(パック) 604P
goot(グット) 高密度集積基板用 鉛入りはんだ Φ0.6mm スズ60%/鉛40% ヤニ入り SD-60

 

20220114-ハンダ用具

 


さて、これらが手元に届き、作業を実施することができるようになったわけだが、いざ再ハンダといっても、どの部分にこれを行うべきか?

 

既に製造から半世紀近く経過している機種ゆえ、すべての箇所を再ハンダしたいところだけれど、それはあくまで、経験に裏打ちされた然るべき技術を具えていればの話で、再ハンダが却って品質の低下をもたらすかもしれない――むしろその恐れが高いと思われる技量では到底実施できるものではないので、取り敢えずはごく少数の箇所に絞って作業を行うことにした。

 

で、その対象はとあちこち目を動かしたのだが、ハンダ割れらしきは一つも見られない。

 

そこで、練習を兼ねて、比較的取り組みやすそうで、かつ潰れや痩せの感じられる所を選んで、ともかくいくつか再ハンダを行ってみた。

 

ここで思いのほか手古摺ったのは既存のハンダの除去で、事前にYouTubeで見た動画のようには、ハンダがするッと吸い取り線に吸収されないのだ。

 

そのため、多少の残滓の上からの(再)ハンダ付けとなってしまったが、こちらの方は比較的速やかにこつを掴むことができた。

 


こうして及ばずながら10ヵ所ほど作業を行った後、試みにケーブル類を接続して音を出してみたところ、何と、それまでだんまりとなっていた右スピーカーもしっかり鳴っていたのである。

 

こんな簡単な対応であっけなく直り、些か拍子抜けを感じながらも、ともあれ一件落着と胸を撫で下ろした。

 

 

 

 


しかしやはり、事はなかなかそう上手くは運んでくれない。

 

数日間は確かに正常に機能していたのだが、ある時、何気なくラウドネススイッチを切り替えたところ、それまで右スピーカーから響いていた音がぱったりと途絶え、以前の状況に逆戻りしてしまった。

 

もっとも、それなら先と同じ対処をすればよいわけで、今一度筐体の蓋を開け、障害再発の契機となったラウドネススイッチ部分に注目すると、実際、ここのハンダにも少し痩せが認められたので、早速再ハンダを実施。

 

これで復旧するだろうと気楽に考えてまた音を出してみたものの、今度は何故か状況に変化は生じなかった。

 


こうなると現在の私のスキルでは打つ手はほとんどなく、辛うじて思い付いたことは、困ったときの接点復活剤――ただ一つだった。

 

DCA-A15のラウドネススイッチはトグル型で、本当ならこれを取り出し、分解清掃すべきだろうけれど、筐体底面の覗き窓を開けるとこの本体があって、スイッチバーの操作により金属板がスライドする様子も見えることから、ここにノズルを当てて接点復活剤をごく少量噴出すれば、他の部分に剤が及んで支障を来たすこともないだろうと、この簡易処理を行うことにした。

 

先ずはスイッチをオフにした状態で一吹き、オフに替えてもう一度、さらに念のため、スイッチバーの根元に見える隙間にも剤を注入した。

 

そして何度かオン・オフを切り替えて接点復活剤を馴染ませたうえ、再度音を出して見たところ、最初は依然として右が無音だったものの、さらに重ねて何度かスイッチ操作をしているうち、ぼッというポップノイズらしい音が切り替えに応じて生じるようになり、やがて音量感が一気に増大。

 

そう、右スピーカーも鳴り出したのである。

 


結局、この部分の接触不良が原因だったのだろうか――しかしそれなら、なぜ先には再ハンダで一時的ながら音が出るようになったのか――といった疑問は残ったものの、ともあれ問題が解決してよかった――と安堵したのだが……

 

今回もまたそれはほんの束の間、すぐにその幸福感はバリバリバリという響きに破られてしまった。


(T.B.C.)