AIYIMAの真空管プリアンプと繋いでいるTEAC TD-X300iで音楽を再生したところ、いつもと同じボリュームレベルにしているのに音がかなり小さい。
一瞬、おや?と思った直後、その理由はすぐにわかった。
右のスピーカーが鳴っていないのである。
初め、前例のある球(真空管)切れではないかと考え、確認したのだが、フィラメントもしっかり点灯しており、それでは接触不良か、と少し動かしてみたものの、症状は改善しなかった。
次には、何分中華製ということもあって、真空管プリアンプに疑いの目を向けたのだけれど、それも早計と思い直し、その前に左右のスピーカーを繋ぎ直してみることにした。
すると、やはり右に繋いだ方が無音である。
これでスピーカーは正常なことがはっきりしたので、改めて真空管プリアンプとTD-X300iのどちらに問題があるかの切り分けに移った。
そのために、TD-X300iの入力を、真空管プリアンプからの信号から、TUNERへ切り替えたところ、受信――はできなかったものの、そのノイズが左スピーカーだけから盛大に流れてきた。
こうして、問題は真空管プリアンプではなく、TD-X300iにあることが判明。
続いて、本体内部の問題となると少々厄介だな――と思いながら、他に原因となりそうなものはないかと見回しているうち、ふと、TD-X300iのプリアンプ/レシーバー部とパワーアンプ/サブウーファー部を繋ぐケーブルに目が止まった。
こんな所が患部とは考え難いのだけれど、目に付いたのも何かの因縁――とパワーアンプ側の端子(DIN)を一旦抜き、ピンの折れなどのないことを確認した上で挿し直し、先ほど同様、TUNERのノイズを出すと、何と、左右両方からザーザーと聞こえるではないか。
些か拍子抜けの気持ちを覚えながら、ともあれこれで一件落着と、念のため今一度同じケーブル端子を抜き挿しし、当初の音楽鑑賞へと戻ったのはいいが、最後の一手が仇になってしまったらしく、また最初の状態に戻ってしまっていた。
こうなると、これまで何度も活躍してくれた接点復活剤の登場である。
しかし、先にも書いた通り、DIN端子のためクリーニングが非常にしずらい。
綿棒を使うにも、頭が大きすぎて密集したピンの間に入らないのだ。
そこで頭を引き延ばすようにして細くし、そこへ接点復活剤を吹き付け、塗り・拭き残しのないよう、できるだけ丁寧にクリーニングした。
こんなことで本当に根本的解決になるのだろうか?と、少し不安は残ったものの、それを終えて再び接続し、またノイズを再生した結果、きちんと左右両方からザーザーと聞こえてきた。
その雑音の、何と心地よく耳に響いたことか。
そして幸い、以後、音楽も正常に再生されている。
それにしても、ずっと繋ぎっぱなしの端子、しかも劣化の進むような環境・状況でもないのに、何故このような事象が生じたのか、実に不思議である。
また、接点復活剤がこれほど重宝することになるとは、購入時には予想もしなかった。