蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

プリメインアンプ SONY TA-F555ESX―機種選定から入手まで

またしてもオーディオ機器が一つ増えてしまった。

 

SONYのプリメインアンプ、「TA-F555ESX」である。

 

20211204-TA-F555ESX

 


例によって、この購入の契機は、現在我が家で音楽を聴かせてくれている機器に不満があったわけでも、それらの一部が機能しなくなったためでもない。

 

いわゆる798戦争の渦中にあったプリメインアンプには、ちょうどその先駆けと言えそうな、手元にあるビクターA-X900と比べてどの程度の進歩がみられるのだろう――という好奇心からである。

 

そこで、798戦争の勃発した1986年発売のアンプの顔触れをあらためて見直したところ、SONY TA-F333ESX、SANSUI AU-α607、ONKYO IntegraA-817XX、KENWOOD KA-990D、YAMAHA AX-900など、錚々たるモデルが名を連ねていた。

 


いずれを入手するにせよ、当然中古でとなることから、市場に多く出回るものが望ましく、そうなると当時よく売れたものが物色の主対象となるわけで、この観点から初めに挙げた二機種に目が行った。

 

この他、KENWOOD KA-990Dの「ダンピングファクター1000」という数値にも少なからず惹かれたのだけれど、特殊な仕様のICが駄目になっている場合は修理不能というリスクのあることを知り、選択候補から外した。

 

 

 

 


さて、手元のビクターA-X900は、当家の環境において透明感に満ちた洗練された音色を響かせてくれており、比較するなら同系統の性格のアンプの方が好かろうとは思ったのだが、別段その比較だけを目的としているわけではなく、以後長きに亘って音楽再生を担ってもらおうとの意図も強かったことから、ここは一つ、敢えてカラーの異なる、力強く骨太なサウンドを特色とする(らしい)SONY TA-F333ESXに、当初は白羽の矢を立てた。

 

ところが、色々とTA-F333ESXの情報を見ている際、ふとその内部の画像を目にし、大きなトランス――はいいとして――これがぽつんと孤立した形で配され、その横に広く空間の空いている様子に、何となく寂しい印象を受け、急に食指が萎えてしまったのである。

 

このようなレイアウトは、無論元から設計されたとは考えられず、別モデルとのシャーシ共有を想定し、その機種では空いたスペースに部材が追加されることになるのだろう――と思い至って、すぐに上位機種たるTA-F555ESXが頭に浮かんだ。

 

そして実際、早速その内部画像をネット上に探して見た結果、TA-F333ESXでは一つだったトランスが二個、見事に並んでシャーシに鎮座していた。

 

その力強さにすっかり魅了され、798機の比較という当初の目的はどこへやら、TA-F555ESXの物色へと舵を切ってしまったのである。

 


しかし、ここで新たな問題が浮上。

 

TA-F333ESX同様、TA-F555ESXの方も人気を博したことから、その後suffixを変えた同系列の製品が数年に亘り発表されており、上の目的が消失したとなると、それら一連の中でどのモデルを選ぶかということだ。

 

もちろん、代を重ねるごとに改良がなされているのだろうが、反対に、「ここはコストダウンしてもよいだろう」といった思いも生じるのが人情である。

 

実際、トランスを二つ積んでいるのは次世代のESXIIまでで、それ以降のモデルでは単一のトランス――サイズアップはされているようだが――搭載に変わっており、やはりメーカーとして最も力を籠めたのは名を成した初代ではなかろうか――という気がしてきた。

 

さらに、この初代モデルの特徴として、粗削りの嫌いはあるがその力動感は圧倒的、との評を目にし、これもまた、別の視座からビクターA-X900との比較ができて面白そうに思われたため、最終的にTA-F555ESXの購入を決定したのである。

 


あとはいくつかの場所に網を張り、それなりの状態の品で、かつ予算内に入って来るものが引っ掛かってくるのをじっくりと待つのみ。

 

その予算については、発売時の定価が128,000円と低額ではない上、現在も依然として人気を保っている機種ゆえ、さすがに今回は一万円では入手が難しそうだったため、奮発してその倍額を設定した。

 

そして何度か逃したり見送ったりした末、先日漸く獲物を手にすることができた次第である。

 


――と、機種選定から入手までの経緯だけで結構な字数となってしまったので、TA-F555ESXと対面しての印象、および確認作業で判明したその状態については、別稿でご紹介したい。