蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

スピーカーの位置変更

昨日から今日にかけて、気温が上がったので薪ストーブを使わずに過ごした。

 

これは一つに、炉内に溜まった灰を少し取り除きたかったのと、いま一つ、壁に掛ける形で使用しているメイン・オーディオのスピーカーの位置を変えたかったためもある。

 

で、その目論見はともに果たすことができた。

 

次の画像がスピーカー位置を変更した後の状態で、お分かりの通り、左スピーカーの設置作業はストーブが燃えていては危険だったのである。

 

スピーカー位置変更

 

左右とも以前の位置より少し下げ、さらに左スピーカーについては、向かって煙突の右側にあったのを左に1m弱移動。

 

因みに、従来のリスニングポジション(LP)は右スピーカーの手前約3mだった。

 

 


私のよく聴くのはジャズで、時代的にモノラル録音のものが多いこともあり、音の広がりや定位などに関しては従来あまり気にしなかったのだが、この冬、画像の手前側に隣接する和室の掘り炬燵に嵌まり込んで音楽を聴くのが定番のスタイルとなり、両スピーカー間隔に比べてLPまでが離れすぎのため、ステレオ音源の臨場感が損なわれがちなことから、今般の変更を思い立ったわけである。

 

作業としては特に困難でも大変でもなく、位置決めをして錐で穴を開け、木ネジをねじ込みスピーカーを掛けるだけ。

 

ただ、その際、スピーカーを外してみると端子に若干劣化が見られたので、今回もまた接点復活スプレーに活躍してもらった。

 


そして音響の確認、このためにまず選んだのは、John Coltraneの1964年の版、「Coltrane's Sound」である。

 

01. The Night Has A Thousand Eyes
02. Central Park West
03. Liberia
04. Body And Soul
05. Equinox
06. Satellite
07. 26-2
08. Body And Soul (Alternative Take)

 

Coltrane's Sound

 

この時期のアルバムなら当然ステレオ録音だろう、と考えての選択だったが、いざ鳴らしてみると、すべての音が一緒くたに、しかも右スピーカーから流れ出ている感じだ。

 

新LPも右スピーカーの前辺りで、音像が幾分右に振れるのは理解できるものの、どう考えてもそれが強すぎる。

 

ともあれ、少々気持ち悪いままLPへ戻り、しばらく聴き続けることに。

 

すると、次第に音像が左へ移動したような気がし出し、さらに楽器も左右に分かれた。

 

分かれたのはいいけれど、鳴っているのはまさしく右と左だけで、その中間は空白地帯の印象である。

 

 

 

何か変だと思い、その後ネットで少し調べたところ、この作品は発売こそ64年だが、録られたのは60年と古いことを知った。

 

そして、「モノラル・ヴァージョン」とわざわざ銘打った盤が多数ヒットしたことから、「もしかしたら、私の手元にあるのは疑似ステレオ盤なのかもしれない、」との考えが頭に浮かんだ。

 

実際、曲によってはコルトレーンのテナーは中央に定位するものの、他の楽器はやはり右か左に完全に寄ってしまっている。

 

従来、ほとんど注意を払っていなかったことは確かだが、このようなことに気付かなかったとは汗顔の至りだ。

 

新たなリスニング環境は、どうやら音源をほぼ忠実に再生してくれてはいるらしいが、やはりもっとはっきりとそれを確認したいのが人情、そこで一旦休止した後、改めて試聴を行ってみた。

 

 


今度聴いたのはクラシック作品、これは間違いなくステレオ録音である。

 

Mozart「ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466」
Alfred Brendel(p); Neville Marriner(cond): Academy Of St. Martin In The Fields
第1楽章 Allegro
第2楽章 Romance
第3楽章 Allegro Assai

 

Mozart K466


ところが何たること、先ほど同様、出てきた音は十把一絡げ、しかも鳴っているのは主に右スピーカーだけという印象だった。

 

さすがに意気消沈してしばらくぼんやり聴き流していたところ、何とも不思議、というか奇妙というべきか、またしても左スピーカーが響きを上げだしたようで、高音弦がそちらから聴こえ始め、センター部分にもしっかり音が分布したのである。

 

コルトレーンを聴いた時も今回も、使用したのはロシア管で、これについては、以下の記事にも書いたようにフィラメントの明るさに差が見られることから、これが関係しているのではないかという懸念も持ったが、調べた結果その心配はないことが判明。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 

その上で、先の、音源そのものの問題を除いて考えると、どうも真空管アンプがその本領を発揮するには、しばらく「音を出す」ことが必要な気がする。

 

このアンプを使い始めて以来、今日も含めて、常に使用前には10分程度電源を入れてウォーミングアップは行っているのだが、これだけでは不十分で、音を実際に鳴らすことが要求されるようなのだ。

 

いや、そうではなく、ウォーミングアップを要するのは、私の耳の方なのかもしれない……

 

今後しばらく、この点を観察してみたいと思う。

 

 


ジャズのブログへ「名曲・名演―オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」を投稿した。

 

jazz-cafe.hatenablog.com