この時季の年中行事である薪ストーブの清掃を行った。
それに先立ち、灰の処理。
この、薪を燃やした灰には、食器洗剤代わりに使える、土壌改良剤になる、といった有用性のあることは知っていたものの、長年、特にそれらとして役立てることなく、次シーズン初めに炉床に敷く分だけ取り置いて、あとはゴミとして出してしまっていた。
しかし去年の秋、ネットオークションを見ていた際、ふと灰が出品されているのを目にし、さらに過去の履歴を確認したところそれなりに落札されていることがわかり、そうなると捨ててしまうのも色々な意味で勿体ないので、この冬の分から出してみようかと考えた。
上で挙げた用途の他、寒季には火鉢用に、また茶道などでは通年の需要があるようだ。
ただ、オークションに出すとなると、元々商品とすべく薪を燃やした灰ではない(もっとも、恐らくそんなものはないだろうけれど)ので、煙突から落ちてきた煤の塊なども若干混じっているため、これらは取り除いておくべきと考え、篩にかけることにした。
すると、これがなかなか楽しいのである。
微粒子がさらさらと下へ落ちていき、最後に煤や灰の粗い粒が残るという、ただそれだけのことなのだが、その様子を、感触を味わいながら眺めるのが実に愉快だった。
そういえば、物心つくかつかないかの幼時、砂を同じように篩って喜んだ記憶もあるような気がする。
こうして得たきれいな灰は、ちょうど10kgの米の梱包箱一杯分。
約700kgの薪を燃やしてこれだけしか灰が残らなかったのは、しっかりと二次燃焼させたためである。
実際、以前、吸気口全開で燃やしていた時と比べると雲泥の差だ。
清掃については、以前にもご紹介した通り、この冬は炬燵を積極的に利用したため、薪の消費量は例年の三分の一ほどだったので、ストーブの汚れは軽微、簡単に済むだろう――と考えていたのだが、いざ確認すると汚れ具合はいつもと変わらず、それを除去するに要した手間暇もほとんど同じだった。
これを鑑みるに、薪ストーブの汚れというものは漸次蓄積していくものではなく、燃焼熱によって浄化される部分もあるようだ。
一仕事終え、気分よく一枚。
Ron Carter「Uptown Conversation」
01. Uptown Conversation
02. Ten Strings
03. Half a Row
04. R.J.
05. Little Waltz
06. Einbahnstrasse
07. Doom