先に以下の記事に書いたように、今般中古で入手したTANNOY Revealには、そのクロスオーバー周波数である3KHz近辺の音に落ち込みがあるらしく、中高域が詰まった感じに聴こえるという問題が現前していた。
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そこで、効果の有無は定かでないものの、エージング、あるいはリハビリテーションとして、毎日1時間ほどは鳴らすようにしてきたのだが、半月余りが経った今日、一条の光明が見えた。
それは、Bill Evansのピアノ・ソロ作品「Alone」を聴いていた際のことである。
01.Here's That Rainy Day
02.A Time for Love
03.Midnight Mood
04.On a Clear Day (You Can See Forever)
05.Never Let Me Go
06.All the Things You Are/Midnight Mood
07.A Time for Love [Alternate Take]
一曲目の"Here's That Rainy Day"では、相変わらず天井の低いような窮屈な響きだったのだが、次曲の冒頭、すッとそれが軽く浮上したように感じ、おや?と思うと同時に、天窓が細く開いたかの如く微かながら陽光が射しこんできた――かの印象を受けた。
が、それも束の間、じっと耳を凝らすと、以前とそれほど変わっていないようにも思える。
欲目ならぬ欲耳による錯覚だったのだろうか、と落胆したが、いや確かに、注意して聴くとこれまで足りなかった音が出始めている。
そして、この取っ掛かりが得られた後は、アルバムを通じて安定して捉えることができた。
そこで今度は音源をクラシックに替え、Isabelle Van Keulen(vn), Ronald Brautigam(p)による、モーツァルトの「ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.547」をかけてみたところ、従来に比べそれぞれの楽器が幾分伸びやかに鳴っていることは間違いないものの、まだピアノには薄いヴェールを纏ったような感があり、ヴァイオリンとの調和性についても、若干ぎすぎすしたところが残っているように感じた。
なお、ここで敢えて「まだ」と記したのは、さらに鳴らし込みを重ねることにより、一層の改善が得られるのではなかろうか、との期待を感じたためであり、実際、その可能性は決して低くないように思う。
さらに続けて、やはりモーツァルトの「ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.46D」「ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.46E」を、同じ奏者ながらチェンバロを用いたパフォーマンスで聴くと、先ほどのピアノに纏わっていた翳りは一掃され、極めて煌びやかな、これぞという音が再生されてきた。
非ながら似たる楽器にもかかわらず、何故このように音の響き方に差異が生じるのかはよくわからないけれど、ともあれ、さらなる音質向上への期待が見えてきたことは間違いない。
今後、重ねての鳴らし込みでどのような変化が見られるか、非常に楽しみだ。