蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

中古スピーカー(ビクター SP-UXWD70-H)

デジタルアンプを入手したことにより、出力デバイスは4つになった一方、スピーカーは2セットのままゆえ、聴き比べをする(実際のところあまりすることはないのだが……)際は繋ぎ替える必要がある。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 

これも少々面倒なので、手頃な中古スピーカーを一つ購入するのも悪くないだろう――とオークションを覗いてみたところ、思ったより遥かに多い品が出ていた。

 

それを絞り込むための条件として、さて何があるかと考え、まず、これまで使って来たスピーカーはすべてフルレンジ・シングルコーンか2wayだったことに思い至り、3wayの音を聴いてみようとこれに当たる機種を選ぶことに。

 

もう一つ、これは気分的な要素が大きいのだけれど、ケーブルがユニットに直付けされてエンクロージャーから出ているもの、すなわちケーブル接続端子のない製品は除外。

 

さらに、力学的な動きの課されるコンポーネントだけに、下手な品を掴むと使い物にならないので、画像や説明でエッジに劣化の生じているものは絶対に回避することにした。

 

そして最後に、価格の上限は2千円(笑)。

 

すると30品ほどが残り、しかも丁度、終了間際にもかかわらず入札のないオークションが目に留まって、神経質に選ぶ必要もないため入札したところ、そのまま落札することができた。

 

「ビクター SP-UXWD70-H」なるスピーカーである。

 

20210405-中古スピーカー(Victor)

 


ネット上に残っていた情報によると、これは元々、同社の「UXWD70-H」なるマイクロコンポーネントに付属するスピーカーで、11cmウーファー、4cmスコーカー、1.5cmトゥイーターで構成される3wayシステムのバスレフ型である。

 

これから明らかなように、3wayとはいっても本格的なものではなく、少々皮肉な見方をすれば、競合他製品との差別化を図るため無理やり3wayにした感を否めない。

 

でもまあ、ともかくも理想(?)のスピーカーを破格で入手できた。

 

 

 

 


届いた荷物を開梱して、中古だけに一番気がかりな製品の状態をまず確認したところ、白色のウーファー・コーンに若干変色が見らたものの、これは地の色からして致し方ないとも言え、エッジにひびや割れは見られないのでまず合格。

 

ただ、状態ではなく仕様の点で、ウーファーの径が11cmあるとはとても思えないのである。

 

実際、上の画像における右側のスピーカーのウーファー径が13cmであることを鑑みても、これは間違いない。

 

そこで物差しを当ててみたら、ユニットの取り付け先である金属フレームの外径が11cmで、ユニットのエッジ両端の差し渡しは9cmである。

 

今回の買い物はそれほどシビアに製品を評価する気はないのだが、サバを読んだと言わざるを得ないようだ。


ケーブル接続端子については、若干くすみが感じられる程度で、錆などはなく概ね良好だった。

 

しかし念のため、接点復活剤でクリーニングを実施。

 

この一缶、実に役に立ってくれている。

 


これらの確認が済み、いざ設置しようと持ち上げると、からからと小さな音。

 

どうやら後ろに開いたバスレフ・ダクトからゴミか虫といったものが入り込んでしまったようだが、覗いてみると単純な筒ではなく、ちょっとしたバックロード構造を具えているらしく、逆さにして振ったりしても外へ出せそうもなかったので、そのままとした。

 


さて、このコンパクトな本格派バスレフ3wayスピーカーの音だが、先のデジタルアンプに繋いで音楽を再生すると、何とも華やかな世界が眼前に展開した。

 

と、こう言えば聞こえはいいのだが、先に書いたこのアンプの特徴、悪くない音ではあるものの耳に障る――がより一層強調される感じなのである。

 

極小トゥイーターの効能か、高音の粒立ち、煌めきといったものは申し分ない一方、やはりこれだけ口径の小さなウーファー、および小容量のエンクロージャーでは、バスレフを工夫しても低域の弱さをカヴァーすることは難しいようだ。

 

それもあってか、全体的に潤いの乏しい乾燥した音場といった印象が強く、音の出た瞬間は、はッとさせられ、気分が盛り上がるけれど、時間の経過とともに身体がそわそわとし出し、三十分ほどでもう十分――となってしまう。

 

これはあくまで、本来アコースティックな音ばかり聴いている人間の感想で、電子楽器の音に慣れ親しんだリスナー(現代ではこちらが圧倒的多数に違いない)が、サブウーファーを加えるなどした上で、細かな音符の多用された音楽を聴くには決して悪くはないかもしれない。

 


しかしやはり、当家ではデジタルアンプとセットにし、気分転換用オーディオとして働いてもらうことになるだろう。