先日購入した中古スピーカーが届いた。
今回の買い物は、「ビクター(Victor)製SP-E5500」なる品で、元々単体で売り出されたものではなく、システムコンポのダウンサイジング版として一時期各社が挙って売り出したミニコンポ用のスピーカーだ。
これが含まれていたのは、1987年頃に出たDC-5500というモデルである。
その位置付けから想像される通り、サイズは1本当たり約28cm(W)×約48cm(H)×約21.5cm(D)とそれなりで、本来鳴らしてみたかった30㎝級のウーファーとはいかないけれど、破格で手に入れることができたのでまあ良しとしたい。
搭載されているウーファーの直径を実測したところ、エッジ最外縁でほぼ20cmだが、先立って購入した小型3wayでの経験からすると、ビクターさんには(も?)少々鯖を読む傾向があるようなので(笑)、カタログスペック上はもう少し大きな数値となっているかもしれない。
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製品の特徴をいくつか挙げれば、まず目につくのは、名機として名高いYAMAHA製NS-1000Mを髣髴させるデザイン。
対抗意識を持たせるような製品では無論ないから、これは偉大な先達に対するオマージュと解釈すべきだろう。
もっとも、エンクロージャーはパーティクルボード製のため、自重は1本約6kgと非常に軽く、さらにミッドレンジ、ツイータのレベルコントローラーも装備されておらず、この辺はさすがに高級品との差が歴然である。
中古品ゆえ気になるのはその状態だが、ざッと確認したところ、エンクロージャーはにはあちらこちらに当て傷が散見されるものの、汚れはほとんどなく、より重要なコーンやエッジに関しては、幸い劣化や破損はまったくなく、全体としてまずまずといったところだ。
さて、チェックが済んだので、当初の目的である小型デジタルアンプと繋いでの音出しを実施した。
かけたのはJohn Coltraneの「Soultrane」。
するとどうだろう、20cm口径とは言え、従来のスピーカーに比べれば2倍以上の振動面積を具えているので、腹に響くくらいの低音は出てくるだろう――と思って(期待して)いたのだが、実際に真っ先に耳が捉えたのは、至極爽やかな中音だった。
おや?と思いながらも、決して悪い音ではないので聴き進んでいくと、決して低域が弱いわけではないことに気付いた。
それはしっかりと再生されているのだけれど、そこにまだ余力を残しているため、無理に鳴らそうとの外連味のない、すっきりとした響きとなって、中域がくっきり現像した感じである。
この特質が、上記アルバムにおける、Coltraneにしてはやや軽めのブローと相俟って、何とも爽快な音色となったに違いない。
さらに、地袋の鳴りを抑えるべくインシュレーターの代わりに接地面に挟んだ防振シートもまた、これに与っているはずだ。
上に書いた通り、SP-E5500はさほどの大型スピーカーではなく、中型機というのが実情だが、私の他の所有機に比べれば数倍の体躯を具えており、この物理的アドバンテージは決して小さくないように思う。
こうなるとさらに大型で重量級のものも試してみたくなるところだが、その場合、現在のように地袋上に据えることは難しくなるので、やはりここで満足すべきだろう。
なお、先のビクター小型3wayもそうだったが、セット物の構成品はオークションなどでもなかなか値が上がらないようなので、中古で買うなら狙い目だ。