ダイソー(DAISO)さんで販売されている価格300円(税抜き)のスピーカーが、一部マニアの心を惹きつけ、魅了して止まないとのことなので、遅れ馳せながら一つ買ってみた。
何しろ、公称の再生周波数帯域が「35Hz(!)~20000Hz」というのだから、JBLもTANNOYも真ッ青である(笑)。
これなら、先に入手したVictor製プリメインアンプ「A-X900」で駆動するスピーカーとして役不足ではなかろう――と考えたわけではないけれど、画像を見てもなかなかしっかりした製品のようだし、色々いじってみるのも面白そうだ。
ところで、この製品に正式名称や型番があるのかは定かでないが、「ダイソー300円スピーカー」が通り名として幅を利かせていることは間違いない。
なお、私が今般購入した際には、隣にbluetoothインタフェースの500円(税抜き)スピーカーも並んでいたが、こちらの方はあまり著名ではないようだ。
箱を開けて取り出してみた印象は、ネット上の画像で目にしていた通りで、特に驚きはなし。
強いて言えば、箱入りの時から感じていたことだが、意外と重みを具えている。
代表的な紐付け相手であろうPCとの接続は、USB(電力)とミニプラグ(信号)の二本立てで、それぞれPCのUSBポート、ヘッドフォン(イヤホン)ジャックに挿す。
それはいいとして、スピーカーに左右の指示が明示されていない。
箱に、接続の仕方の「一例」として描かれているイラストでは、アンプが内蔵されボリューム調節機能のついた方が「右」となっているので、先ずはそれに従って設置してみたのだけれど、音を出して確認したら逆だった。
話によると、製造時期により仕様が微妙に異なるらしいので、フレキシビリティを持たせているのだろうか。
ともあれ、念のため確認をお勧めしたい。
さて、肝心の再生音について言えば、これもほぼ予想通りのものだった。
本質的にはラップトップPC内蔵スピーカーと同様の性格、しかし独立のエンクロージャーにより、いくらか上質な音質と、幾段か優れた音場感が実現される――といった印象である。
高音は華やかなものの、スピーカーユニットから放射されるすっきりと実のある響きではなく、エンクロージャーの振動によって生じるカラ音らしい。
実際、再生中にエンクロージャーに触れるとかなり強く手にぴりぴりと感じ、試しに上から下へ押し付けるようにしたら、ぐっと落ち着いた音に変わった。
そして一方の低音も、35Hzまで再生可能というスペックを額面通り取る人はいないだろうけれど、やはり単なる謳い文句に過ぎず、ベースなど初めはまったく鳴らなかった。
が、「初めは」とわざわざ限定したのには意味があり、実はその再生曲の終わり近くになると、高めの音域においてではあるものの、ベースがポンポンと聴こえ始めたのである。
ごく短スパンのものながら、これも「エージング」と言えるのかもしれない。
このままでも使えないことはないが、上に書いた通り、エンクロージャーにちょっと力を加えただけでも音が大きく変わるので、改良による音質向上は大いに期待できそうである。
これについては、計画・実行の後、改めて稿を起こしてご紹介したい。