蓼科高原日記

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ダイソー(DAISO) 300円スピーカー

ダイソー(DAISO)さんで販売されている価格300円(税抜き)のスピーカーが、一部マニアの心を惹きつけ、魅了して止まないとのことなので、遅れ馳せながら一つ買ってみた。

 

20210721-300円スピーカー

 

何しろ、公称の再生周波数帯域が「35Hz(!)~20000Hz」というのだから、JBLもTANNOYも真ッ青である(笑)。

 

これなら、先に入手したVictor製プリメインアンプ「A-X900」で駆動するスピーカーとして役不足ではなかろう――と考えたわけではないけれど、画像を見てもなかなかしっかりした製品のようだし、色々いじってみるのも面白そうだ。

 


ところで、この製品に正式名称や型番があるのかは定かでないが、「ダイソー300円スピーカー」が通り名として幅を利かせていることは間違いない。

 

なお、私が今般購入した際には、隣にbluetoothインタフェースの500円(税抜き)スピーカーも並んでいたが、こちらの方はあまり著名ではないようだ。

 


箱を開けて取り出してみた印象は、ネット上の画像で目にしていた通りで、特に驚きはなし。

 

強いて言えば、箱入りの時から感じていたことだが、意外と重みを具えている。

 

代表的な紐付け相手であろうPCとの接続は、USB(電力)とミニプラグ(信号)の二本立てで、それぞれPCのUSBポート、ヘッドフォン(イヤホン)ジャックに挿す。

 

それはいいとして、スピーカーに左右の指示が明示されていない。

 

箱に、接続の仕方の「一例」として描かれているイラストでは、アンプが内蔵されボリューム調節機能のついた方が「右」となっているので、先ずはそれに従って設置してみたのだけれど、音を出して確認したら逆だった。

 

話によると、製造時期により仕様が微妙に異なるらしいので、フレキシビリティを持たせているのだろうか。

 

ともあれ、念のため確認をお勧めしたい。

 

 

 

 


さて、肝心の再生音について言えば、これもほぼ予想通りのものだった。

 

本質的にはラップトップPC内蔵スピーカーと同様の性格、しかし独立のエンクロージャーにより、いくらか上質な音質と、幾段か優れた音場感が実現される――といった印象である。

 

高音は華やかなものの、スピーカーユニットから放射されるすっきりと実のある響きではなく、エンクロージャーの振動によって生じるカラ音らしい。

 

実際、再生中にエンクロージャーに触れるとかなり強く手にぴりぴりと感じ、試しに上から下へ押し付けるようにしたら、ぐっと落ち着いた音に変わった。

 

そして一方の低音も、35Hzまで再生可能というスペックを額面通り取る人はいないだろうけれど、やはり単なる謳い文句に過ぎず、ベースなど初めはまったく鳴らなかった。

 

が、「初めは」とわざわざ限定したのには意味があり、実はその再生曲の終わり近くになると、高めの音域においてではあるものの、ベースがポンポンと聴こえ始めたのである。

 

ごく短スパンのものながら、これも「エージング」と言えるのかもしれない。

 


このままでも使えないことはないが、上に書いた通り、エンクロージャーにちょっと力を加えただけでも音が大きく変わるので、改良による音質向上は大いに期待できそうである。

 

これについては、計画・実行の後、改めて稿を起こしてご紹介したい。

 

 

 

Victor A-X900の仕様と音質

Victorのプリメインアンプ「A-X900」は、先にご紹介した通り1983年に発売された古い製品のため、メーカーによる公式情報などをネット上に見つけることはできなかった。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 

しかし、次のページに、この機種に取り入れられた技術、および主な仕様が記載されているので、それらを参照させて頂いた上で、ここでも少しご紹介したいと思う。

 

https://audio-heritage.jp/VICTOR/amp/a-x900.html

http://knisi2001.web.fc2.com/a-x900.html

 


まず、A-X900の土台となっているのは、「Gmサーキット(電圧・電流変換増幅方式)」なる技術で、これは、本来は電流増幅素子であるトランジスターを電圧増幅にも利用可能ならしめるものらしい。

 

Gmが何の略なのかが分かれば、もう少しはっきりするのだけれど、遺憾ながらそれを見出すことはできなかった(少なくともGood morningに由来するものではないだろう)。

 

そして、このGmサーキットに立脚する形で、プリアンプ部の音量調節機能としてのGmボリュームおよびGmセレクターが高S/N比を、同じく電圧増幅段のGmドライバーがHiFi(高忠実度)再生を実現。

 

さらにGmドライバーがパワーアンプ部のダイナミック・スーパーAと協働することで、大きな出力を得る機構になっているようだ。

 


ここで、上に関係すると思われるA-X900の主な仕様を挙げると、次の通りである。

 

S/N比:110dB(DAD、Tuner、Aux、Tape)
全高調波歪率:0.003%(実効出力時、20Hz~20kHz、8Ω負荷、DAD, Tuner, Aux, Tape)
混変調歪率:0.001%(実効出力時、8Ω負荷、DAD, Tuner, Aux, Tape、60Hz:7kHz=4:1)
実効出力:150W+150W(20Hz~20kHz、8Ω負荷)

 

さらに比較のため、3年後の1986年に発売されて798戦争に火をつけた二機種、「SANSUI AU-α607」「SONY TA-F333ESX」についても数値を記してみよう。

 

・SANSUI AU-α607
SN比:110dB以上(1W時、Tuner, Line, CD)
全高調波歪率:0.003%以下(実効出力時、8Ω負荷)
混変調歪率:0.003%以下(8Ω負荷)
実効出力:90W+90W(10Hz~20kHz、8Ω負荷)

 

SONY TA-F333ESX
SN比:105dB(CD, Tuner, AUX, Tape)
高調波歪率:0.002%以下(10W出力時、8Ω負荷)
混変調歪率:0.004%以下(定格出力時、8Ω負荷、60Hz:7kHz=4:1)
実効出力:105W+105W(20Hz~20kHz、8Ω負荷)

 

これらの値がどの程度の意味を持つのかはわからないものの、混変調歪率と実効出力については、先発機種にもかかわらずA-X900は優れたパフォーマンスを示しているように見える。

 

 

 

 


少々前置きが長くなったが、より重要なA-X900の再生音について述べよう。

 

今般のプリメインアンプの入手は、あるシステムを組もうと計画してのことではないので、音を出すためには手持ちのスピーカーを繋ぐことになる。

 

それに用いたのは、SONYのハイファイコンポーネントシステム「MDピクシー DHC-MD373」付属のものとした(以下の画像、右から二番目)。

 

20210719-スピーカー

 

このスピーカーは、A-X900に対して価格・仕様とも役不足の感は否めないが、比較的素直な音を奏でてくれるため、アンプの特徴をよく現してくれるだろうと考えたのである。

 


初めに、サブソニックラウドネス、トーンコントロールなどを通さず、Gmセレクターもニュートラルな0dBを選択して鳴らしたところ、従来SONYのシステムとして響かせていた柔らかな音が、はっきりした輪郭を見せて朗々と響くようになった印象である。

 

次いでGmセレクターを中位の-6dBに変えると、音の透明度が向上。

 

特に、中高音は固より、低音のそれを明確に感じたのは、これまでで初めての経験だ。

 

また、各楽器の音像が鮮明化すると同時に、それとはなかなか両立しがたい性質である、音場の豊かさも増大したのも驚きだった。

 

最後に-12dBポジションを使ったが、この際は上の性格がさらに顕著となる。

 

ただ、「水清ければ魚棲まず」といった感じで、些か物足りなさを覚えるというのが正直な思いである。

 

 

さて、このようにアンプがいい音を聴かせてくれるとなると、これに紐付けるに相応しいスピーカーが欲しくなる。

 

価格的バランスからすれば、発売時の定価が10万円クラスのものが適当だろうけれど、これもやはり1万円程度で中古品を手に入れたいところだ。

 

そんな品の出るのを気長に待つことにしよう。

 


Thelonious Monk Plays Duke Ellington
01.It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)
02.Sophisticated Lady
03.I Got It Bad and That Ain't Good
04.Black and Tan Fantasy
05.Mood Indigo
06.I Let a Song Go Out of My Heart
07.Solitude
08.Caravan

 

20210719-Plays Duke Ellington

 

モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 "トルコ風"」
J.ハイフェッツ(vn)、s.M.サージェント(cond)、ロンドン新交響楽団・室内管弦楽団
第楽章 Allegro aperto
第楽章 Adagio
第楽章 Tempo di menuetto - Allegro