蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

蓼科湖畔の細流(せせらぎ)

所用のため茅野市街地へ下りたついでに蓼科湖へ立ち寄り、ぐるりと一周した後、木陰に数多置かれたガーデンチェアーで暫し湖面を眺めながら時を過ごした。

 

シルバーウィーク終了後の平日、しかも紅葉にはまだ時季が早いにもかかわらず、駐車場には八分方埋っていた。

 

もっとも、それほど広いスペースではないので、さしたる台数でもなく、湖も活気と静寂相俟って悪くない佇まいを見せていた。

 


この湖の北側には、遊歩道を挟んで小流れが通っている。

 

ごく浅く、水も澄んでいるため、山女魚だろうか、ぽつぽつとその姿が見える一方、ビニール袋などの人工物も何ヵ所かで目に付き、景趣を少なからず損ねているのが惜しまれる。

 

かといって流れに足を踏み入れて取り除くわけにもいかず、然るべき係員に任せるほかないだろう。

 


そのような小さな瑕疵はあるにせよ、流れる清らかな水の煌めきと響きは美しい。

 

特に、鮮緑の水草が小さな白い花と落ち葉を冠して揺らめく様には足を留めて見惚れてしまった。

 


これで落ち葉が赤や黄に染まったら――とも思うが、その時には水草と花は反対に色褪せているかもしれない。

 

20230920-蓼科湖畔の細流(せせらぎ)

 

 

 

 

蓼科大滝

久しぶりに蓼科大滝を訪れてみた。

 


多くの人にとっては、茅野市街の外れからビーナスラインの一部を成す長野県道192号へ入って高度を上げ、蓼科湖を右に見ながらここを通過して1kmほど進むと、「東京物語」「秋刀魚の味」「生まれてはみたけれど」などを撮った映画監督、小津安二郎の記念館(無芸荘)が今度は左に見えるのを通過した直後にある、プール平駐車場に車を停めるのが一般的ルートだろう。

 

しかし当方の居住地はそこより500m近く上なので、アクセスは山から下りる形になるのである。

 


駐車場から蓼科大滝までは原生林の中を徒歩で十分ほど。

 

ただ、辿るのは平坦な路ではない上、木の根や岩があちこちに頭を擡げているため歩を運ぶには注意が必要だ。

 

その岩の面を含め辺り一帯には苔が蒸し、ここが形成されるまでに費やされた時の長さが自ずと思われる。

 


その幽玄な景色の中に現れる蓼科大滝は、名前とは裏腹に規模こそ大きくないものの、時間に磨かれた品格を具えて落ち着いた佇まいを見せており、落ち流れる水の音と相俟って何とも好もしい。

 

20230917-蓼科大滝1

20230917-蓼科大滝2

 


当方の周辺には他にも同じような小さな名所が散在している。

 

これからは意識的にそれらへも訪れようと思う。