蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

プリメインアンプ Victor A-X900

またしてもオーディオ機器を購入してしまった。

 

当記事のタイトルに示した、Victor製プリメインアンプ「A-X900」がそれである。

 

そもそものきっかけは、何ということもない、もっともらしいことを滔々と述ているものの、詰まるところは単なるオーディオメーカーの幇間、その宣伝冊子との顰蹙を買って捨て値で売られていた古某誌をつらつらと眺めている(読んではいない)うち、ピュア――とまではいかずとも、ある程度名の知られた製品の音がどのようなものか、自分の耳で聴いてみたくなったのである。

 

先立つものの乏しさは相変わらず故、無論、ターゲットは中古品だ。

 


実は、当初白羽の矢を立てたのは、Technics製パワーアンプ、SE-A1000シリーズだった。

 

しかしながら、先にPanasonic製RAMSA購入の記事でも書いたように、パワー(レベル)メーターを具えた製品は、この部分が主な故障個所となるにもかかわらず、やはり見た目の派手さのためか人気が高いようで、SE-A1000シリーズもそれなりに値が上がってなかなか手が出なかった。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 

もっとも、3万円ほどの出費を覚悟すれば何ら問題はないのだけれど、そもそも今回は(も)必要に迫られての買い物ではないため、できれば1万円程度に抑えたく、さすがにこの予算では状態の思わしいものの入手は難しく、また、考えてみればパワーアンプは既に3台が目の前に並んでいる一方、プリメインアンプは1台も手元にないこともあり、こちらのカテゴリーで別の製品を探すことに方針を転換。

 

しかし、そこで興味を惹かれたのも初めはA-X900ではなく、SANSUIのAU-α607だった。

 


この製品は、SONYのTA-F333ESXとともに、従来10万円超クラスの機種に採用されていた技術を盛り込んだ意欲的なプリメインアンプを各社が一斉に79,800円の価格で売り出した、所謂「798戦争」の嚆矢となったものである。

 

時に1986年、世がバブル経済に浮かれていた頃のことで、相当な売れ行きを示したらしく、それらが現在、中古市場に大量に出回っているため、選択肢が格段に多くなるのはいいが、私の予算内に入ってくるものとなるとやはり容易には出ない。

 

そんな時、ふと目にしたのが、「Victor A-X900」だった。

 

価格はやはり79,800円ながら、発売時期は少し早く、1983年らしい。

 

因みに、紛らわしいことに、同じVictorには、後に発売されたAX-900というモデルがあり、こちらは38万円の高価格機である。

 

 

 

 


さて、798戦争で覇を競った各社の機種については、いずれも華やかなスローガンを掲げて一世を風靡したものの、今の目から見ると、徒に目新しさばかりを前面に出した、個性の乏しい製品が多く、団栗の背比べの印象が否めない――との意見もよく聞かれる。

 

それに対しA-X900は、価格とともに外観的にも上記戦士たちを髣髴させるものの、まだ変な競争心の表面化しない時の製品だけに、心做しか地に足の付いた、落ち着いた風情を具えているように感じられた。

 

丁度そんな時、折よく、想定予算内の一品が現われたため、早速手に入れた次第である。

 

目立った傷もなく、40年近く前の品にしてはこれ以上望めないほど綺麗な一方、価格が価格だっただけに、一点、「片チャンネルの出力が不安定」という顕在的不具合のあることが注記されていた。

 


商品が届いてすぐ、それがどの程度のものかを確認すべく、音源及びスピーカーと接続して音出しして見たところ、実際、小音量では左からの音が出ず、ボリュームを上げると出力されるものの、その際にガリノイズ――というほど鋭くはなく、ジャリといった感じ――も聴かれ、また明らかに信号が間引かれて何ともすかすかな音になってしまっている。

 

20210714-Victor-A-X900

 

 

そんなわけで、新品の機器なら次はサウンド・インプレッション――となるところだが、今回購入したA-X900に関しては、まずこの不具合対応を追ってご紹介することになるだろう。

 

これもまた、B級オーディオならではの愉しみといえる。

 

いや、決して強がりや負け惜しみではない。

 

本当に……