蓼科高原日記

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ONKYO(オンキョー) M55の仕様と音質

ONKYO(オンキョー)製スピーカーM55の入手の経緯については、以下の記事に既述したように、元々このメーカーに対する関心があったことに加え、Technics(テクニクス)のプリメインアンプSU-8055と出会ったことでオーディオ黄金期の前半とも言える1970年代のモデルへの興味が湧き上がっていた時、ふと破格の値で店頭に並んでいるのを目にしての衝動買いだった。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 


このスピーカーが発売されたのは1978年、主な仕様は次の通りである。

 

方式:2ウェイ・2スピーカー・密閉方式
ユニット:低域20cmコーン型+高域3cmドーム型
インピーダンス:6Ω
再生周波数帯域:45Hz~40000Hz
出力音圧レベル:90dB/W/m
クロスオーバー周波数:2000Hz
外寸:幅235x高さ400x奥行238mm
重量:6.5kg

 

メーカーの謳い文句は、「小型でありながら、大型システムにせまるゆとりと、パワフルな演奏を目指したスピーカーシステム」というもので、この筐体サイズにしては大きめの20cmウーファーを搭載している。

 

20231127-ONKYO(オンキョー) M55の仕様と音質

 

もっとも、当時はまだ大口径ユニット志向が強く、他と比べて突出した特徴でもない。

 


これも既述したことだが、入手時、同機の元々のウレタンエッジは完全に劣化崩壊していたため、代替品としてクロス(布)製ダブル(ツイン)ロールの製品を調達したものの、あまりにも薄いことに加え、ダンプ剤がまったく塗布されておらず、布目は固より所々に生じた穿孔から向こうが透けており、このままでは密閉型の特質を発揮できそうもなかったことから、乾燥後もある程度の柔軟性を具える接着剤「アルテコ パワーエース 速乾アクリア」を若干水で薄めて塗るという、苦肉の策を採った。

 

その仕上がりは思ったより硬く、当初は低域にぎこちなさと伸びの阻害が感じられた。

 

 

 

 


果してこれらがエージングにより改善するのか、どうか……というのが、今般最大の懸念と関心だったのだけれど、結果を言えば、このようなある意味反則的な素材利用でも、その効果ははっきりと現れてくれたのである。

 

ただ、これまでのスピーカーでは一ヵ月ほどのエージングで感じられた変化が、今回は三ヵ月ほどを経て漸く見られるようになった点は書いておきたい。

 


さて、同じ時代のテクニクスSU-8055を選択してこのM55を鳴らした印象としては、確かにメーカーの謳うゆとりと力強さが如実に看取される。

 

その一方、音源や聴きようによっては、音の輪郭がぼやける――というか、均一でないように聴こえることもあるのが些か気にかかり、また、低域と中音域以上との繋がりにどことなく不自然さも感じられる。

 


どうもこれらはこのスピーカー本来の特質ではないようで、やはりウーファー・エッジが影響している可能性が高そうだ。

 

しかしまたエッジを調達して再度張り替えるのも躊躇されるので、さらにしばらく鳴らし込んで様子を見ることにしよう。

 

もしもう一化けしたら、改めてご紹介したい。

 

 

 

 

DENON(デノン) PMA-7.5の仕様と音質

一通りの整備を済ませ、音質の印象はしばらくエージングを行なってから――と予告したDENONのプリメインアンプPMA-7.5とONKYO製スピーカーであるが、個人的事情によりそれら紹介が長らくペンディングとなってしまっていた。

 

しかし漸く事情の許すところとなったので、遅れ馳せながらここでそれを果たしたいと思う。

 

どうせならまとめてのインプレッションとしたいところだけれど、新たなコンポーネントの特質をはっきりさせるため、まずはDENON PMA-7.5について、既存の機種、具体的にはPioneer S-101との組み合わせで聴いたところを述べたい。

 


はじめに、いつも通り主な仕様を挙げる。

 

実用最大出力:80W+80W(6Ω、EIAJ)
全高調波歪率:0.008%(1kHz、22.5W出力時、8Ω)
SN比:Phono MM 78dB, Line:100dB(SOURCE DIRECT ON)
外形寸法:幅250x高さ96x奥行335mm
重量:5.5kg

 

 

 

 


同機の発売は1991年7月、一般にはバブル経済の崩壊後ということになり、開発の行われた時にはすでにその予兆に色濃く包まれていたであろうせいか、一見、高級品らしい外貌を具えているものの、以下の記事に書いたように、電源スイッチをはじめとする各ボタンをはじめ、ボリュームつまみ、さらには側面パネルもプラスティック製、実態はかなり安っぽい作りである。

 

また、そのボリュームつまみは手前側の径をやや絞った円錐台状のため、回す際に頻繁に滑ってしまう。

 

個人的には、こんなところもオーディオ暗黒時代を招来する素因となったのではなかろうか――という気がしてならない。

 

半面、コンパクトな筐体内部には巨大なトロイダルトランスが堂々と鎮座しており、ぎっしりと詰まった素子類と相俟って、ここにはそれまでの堅実さの残っていることが感じられて頼もしい。

 

20230731-DENON(デノン) PMA-7.5.jpg

 


そんなPMA-7.5をPioneer S-101に繋いで鳴らしてみて第一に目(耳)につくのは、先のトリオKA-5300との組み合わせ同様、音の鮮明さ、楽器の奏でる一音一音がくっきりと目の前に現前することだ。

 

これはPioneer S-101の性格に負うところが大きいと言うべきで、ではPMA-7.5の特質は――となると、KA-5300の描く音像に比べて輪郭線が細い、というか柔らかいという点を挙げられるように思う。

 

しかしそれは決してなよなよとしたものに堕してはおらず、音像の実在感はそのまま、そこにふくよかさと嫋やかさを適度に加味し、自然な形で音場を醸し出している。

 

そのため、ジャズの洗練されたピアノ・トリオやクラシックの音源の再生に、遺憾なく実力を発揮してくれるに違いない。

 


このPMA-7.5とPioneer S-101とは、今後当方の固定ペアの一つとして活躍してくれるだろう。