蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

DENON(デノン) PMA-7.5の仕様と音質

一通りの整備を済ませ、音質の印象はしばらくエージングを行なってから――と予告したDENONのプリメインアンプPMA-7.5とONKYO製スピーカーであるが、個人的事情によりそれら紹介が長らくペンディングとなってしまっていた。

 

しかし漸く事情の許すところとなったので、遅れ馳せながらここでそれを果たしたいと思う。

 

どうせならまとめてのインプレッションとしたいところだけれど、新たなコンポーネントの特質をはっきりさせるため、まずはDENON PMA-7.5について、既存の機種、具体的にはPioneer S-101との組み合わせで聴いたところを述べたい。

 


はじめに、いつも通り主な仕様を挙げる。

 

実用最大出力:80W+80W(6Ω、EIAJ)
全高調波歪率:0.008%(1kHz、22.5W出力時、8Ω)
SN比:Phono MM 78dB, Line:100dB(SOURCE DIRECT ON)
外形寸法:幅250x高さ96x奥行335mm
重量:5.5kg

 

 

 

 


同機の発売は1991年7月、一般にはバブル経済の崩壊後ということになり、開発の行われた時にはすでにその予兆に色濃く包まれていたであろうせいか、一見、高級品らしい外貌を具えているものの、以下の記事に書いたように、電源スイッチをはじめとする各ボタンをはじめ、ボリュームつまみ、さらには側面パネルもプラスティック製、実態はかなり安っぽい作りである。

 

また、そのボリュームつまみは手前側の径をやや絞った円錐台状のため、回す際に頻繁に滑ってしまう。

 

個人的には、こんなところもオーディオ暗黒時代を招来する素因となったのではなかろうか――という気がしてならない。

 

半面、コンパクトな筐体内部には巨大なトロイダルトランスが堂々と鎮座しており、ぎっしりと詰まった素子類と相俟って、ここにはそれまでの堅実さの残っていることが感じられて頼もしい。

 

20230731-DENON(デノン) PMA-7.5.jpg

 


そんなPMA-7.5をPioneer S-101に繋いで鳴らしてみて第一に目(耳)につくのは、先のトリオKA-5300との組み合わせ同様、音の鮮明さ、楽器の奏でる一音一音がくっきりと目の前に現前することだ。

 

これはPioneer S-101の性格に負うところが大きいと言うべきで、ではPMA-7.5の特質は――となると、KA-5300の描く音像に比べて輪郭線が細い、というか柔らかいという点を挙げられるように思う。

 

しかしそれは決してなよなよとしたものに堕してはおらず、音像の実在感はそのまま、そこにふくよかさと嫋やかさを適度に加味し、自然な形で音場を醸し出している。

 

そのため、ジャズの洗練されたピアノ・トリオやクラシックの音源の再生に、遺憾なく実力を発揮してくれるに違いない。

 


このPMA-7.5とPioneer S-101とは、今後当方の固定ペアの一つとして活躍してくれるだろう。