本来なら、九月も半ばとなればこの辺りはもうすっかり秋の気に包まれ、乾燥した大気が戦ぐと心地よさを通り越して肌寒ささえ覚える時季なのだが、今年は梅雨のようだった八月の気候が未だに続いており、陽射しがあっても蒸し暑く、体感的には爽やかさとは程遠い。
しかしそれでも季節の進んでいることは確かで、日の翳りに逢うとぞくッとするような冷気を覚えるし、樹々の緑にも色褪せが見られ、早くも葉を落とし始めているものもある。
先月、巻き枯らしの処置をとった当家の庭のニセアカシアの葉も、既にだいぶ地面に散り敷いている。
あと一月もすれば紅葉黄葉を迎えることになるが、それをあざやかたらしめるに必要な、夏の日照とその後の冷え込みという条件が今年はいずれも満たされなかったことからすると、瞠目するような色付きはどうやら期待できそうもない。
それはさておくとしても、高く澄んだ青空と清々しい空気だけはもうそろそろ訪れてもらいたいところだ。