蓼科高原日記

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中古パワーアンプ(パナソニック RAMSA WP-1100A)

ビクターのスピーカーに続き、パナソニックパワーアンプ「RAMSA WP-1100A」が到着した。

 

これは本来、一般家庭におけるリスニングルーム用の機器ではなく、所謂PA(Public Address)、すなわちより広い公共施設や屋外での音響伝達を目的としたプロ・ユース製品である。

 

 

今般パワーアンプを新たに手にしようとした理由は、先に「高地の桜」に書いた通り、少し大きめのビクター製スピーカーを、従来より本格的なアンプで駆動してみたかったからで、初めはオークションで一般的なパワーアンプに目を向け、その中でもパワーメーターを装備している機種を狙ったのだが、このタイプは結構人気があるらしく、なかなか落とすことができなかった。

 

かといってそれを具えていないオーソドックスな民生品では少々面白みに欠ける気がして、さてどうしたものだろうと考えているうち目に入ったのが、「業務用」「プロ仕様」と銘打たれた製品だった。

 

無論、このカテゴリーの製品にもパワーメーターを持つものはあるが、その価格状況は民生品と全く同じだったため遺憾ながら対象から外し、極力シンプルなものも悪くないだろう――と自分に言い聞かせて物色した結果、この「RAMSA WP-1100A」の落札に至ったのである。

 

20210427-RAMSA

 


画像からお分かりのように、高級オーディオブランドの代表格である、マッキントッシュの格調、マランツの気品、ジェフ・ローランドの優美などとは無縁の、何ともそっけない外観だが、見方によっては質実剛健で頼もしい面構えとも言える。

 

実は、本来、前面パネルの左右、および両側面の後方に向け、ラックマウント用の金具が突き出ていたのだが、さすがに少々無骨過ぎるし、また嵩張ることに加え、そもそも当方の使用環境では不要なため、取り外してしまった(ねじ止めなので脱着は容易)。

 

 

中古品としての状態は、筐体上部に目立たないとは言えない大きめの引っ掻き傷はあるものの、前面パネルは綺麗だし、機能的に重要な位置を占めるインタフェース用端子類には錆・汚れ共にほとんど認められず良好で、まず安心した。

 

 

 

 


その、背面の他機器とのインタフェースについては、プロ・ユースらしさが現れている。

 

20210427-RAMSA端子

 

入力端子は標準的なピン(RCS)ジャックではなく、いずれもモノラルのフォーン(標準)およびキャノン(XLR)のジャックをそれぞれ二系統ずつ具えているのだ。

 

つまり、独立なモノラルアンプを二台装備しているイメージで、実際、入力2系統(左右)―出力2系統(左右)の標準的なステレオモードの他、BTL接続による入力1系統―出力1系統のブリッジモードも用意されており、スイッチにより切り替え可能となっている(さらにモノラルモードもあるのだけれど、この仕様は今一つ不明[入力1系統―出力2系統?])。

 

ただ、手持ちケーブルには、フォーン(標準)、キャノン(XLR)いずれのプラグを具えたものもなかった。

 

 

そこで新たに調達する必要が生じ、どうせならこれまで未経験の後者で繋いでみようかとも考えたのだが、この端子の最大の特徴は「抜けにくい」ことだと知り、強いてそれを試すこともなかろうと標準プラグの方にした。

 

とは言え、モノラルの標準プラグなど見たことはなく、そんなものが市販されているのだろうかと調べたところ、ステレオミニプラグ―モノラル標準プラグ×2を両端子とするケーブルがあったので、これで音源として考えたiPod touchと接続することにして注文した。

 

世の中には色々な製品があるものだと感心。

 

 

なお、スピーカーケーブル端子はねじ止め式、それもつまみ付きの手で回せるものではなく、ドライバーを要する形式である(機種によっては、スピコンという、さらに特殊な端子しか具えていないものもある)。

 

あと一点、このアンプのボリューム(入力アッテネーター)つまみは左右独立型だが、カチカチと段階的、小刻みに動くタイプゆえ、両チャンネルを同一位置に揃えるのは容易であることも付記しておく。

 

 

ともあれ、無事音出しも完了したのだが、それについては稿を改めてご紹介したい。

 

 

 

中古スピーカー(ビクター SP-E5500)

先日購入した中古スピーカーが届いた。

 

今回の買い物は、「ビクター(Victor)製SP-E5500」なる品で、元々単体で売り出されたものではなく、システムコンポのダウンサイジング版として一時期各社が挙って売り出したミニコンポ用のスピーカーだ。

 

20210426-ビクターSP-E5500

 

これが含まれていたのは、1987年頃に出たDC-5500というモデルである。

 

その位置付けから想像される通り、サイズは1本当たり約28cm(W)×約48cm(H)×約21.5cm(D)とそれなりで、本来鳴らしてみたかった30㎝級のウーファーとはいかないけれど、破格で手に入れることができたのでまあ良しとしたい。

 

搭載されているウーファーの直径を実測したところ、エッジ最外縁でほぼ20cmだが、先立って購入した小型3wayでの経験からすると、ビクターさんには(も?)少々鯖を読む傾向があるようなので(笑)、カタログスペック上はもう少し大きな数値となっているかもしれない。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 

 

製品の特徴をいくつか挙げれば、まず目につくのは、名機として名高いYAMAHA製NS-1000Mを髣髴させるデザイン。

 

対抗意識を持たせるような製品では無論ないから、これは偉大な先達に対するオマージュと解釈すべきだろう。

 

もっとも、エンクロージャーはパーティクルボード製のため、自重は1本約6kgと非常に軽く、さらにミッドレンジ、ツイータのレベルコントローラーも装備されておらず、この辺はさすがに高級品との差が歴然である。

 

中古品ゆえ気になるのはその状態だが、ざッと確認したところ、エンクロージャーはにはあちらこちらに当て傷が散見されるものの、汚れはほとんどなく、より重要なコーンやエッジに関しては、幸い劣化や破損はまったくなく、全体としてまずまずといったところだ。

 

 

 

 


さて、チェックが済んだので、当初の目的である小型デジタルアンプと繋いでの音出しを実施した。

 

かけたのはJohn Coltraneの「Soultrane」。

 

20210426-Soultrane

 

するとどうだろう、20cm口径とは言え、従来のスピーカーに比べれば2倍以上の振動面積を具えているので、腹に響くくらいの低音は出てくるだろう――と思って(期待して)いたのだが、実際に真っ先に耳が捉えたのは、至極爽やかな中音だった。

 

おや?と思いながらも、決して悪い音ではないので聴き進んでいくと、決して低域が弱いわけではないことに気付いた。

 

それはしっかりと再生されているのだけれど、そこにまだ余力を残しているため、無理に鳴らそうとの外連味のない、すっきりとした響きとなって、中域がくっきり現像した感じである。

 

この特質が、上記アルバムにおける、Coltraneにしてはやや軽めのブローと相俟って、何とも爽快な音色となったに違いない。

 

さらに、地袋の鳴りを抑えるべくインシュレーターの代わりに接地面に挟んだ防振シートもまた、これに与っているはずだ。

 


上に書いた通り、SP-E5500はさほどの大型スピーカーではなく、中型機というのが実情だが、私の他の所有機に比べれば数倍の体躯を具えており、この物理的アドバンテージは決して小さくないように思う。

 

こうなるとさらに大型で重量級のものも試してみたくなるところだが、その場合、現在のように地袋上に据えることは難しくなるので、やはりここで満足すべきだろう。

 


なお、先のビクター小型3wayもそうだったが、セット物の構成品はオークションなどでもなかなか値が上がらないようなので、中古で買うなら狙い目だ。