久しぶりに蓼科大滝を訪れてみた。
多くの人にとっては、茅野市街の外れからビーナスラインの一部を成す長野県道192号へ入って高度を上げ、蓼科湖を右に見ながらここを通過して1kmほど進むと、「東京物語」「秋刀魚の味」「生まれてはみたけれど」などを撮った映画監督、小津安二郎の記念館(無芸荘)が今度は左に見えるのを通過した直後にある、プール平駐車場に車を停めるのが一般的ルートだろう。
しかし当方の居住地はそこより500m近く上なので、アクセスは山から下りる形になるのである。
駐車場から蓼科大滝までは原生林の中を徒歩で十分ほど。
ただ、辿るのは平坦な路ではない上、木の根や岩があちこちに頭を擡げているため歩を運ぶには注意が必要だ。
その岩の面を含め辺り一帯には苔が蒸し、ここが形成されるまでに費やされた時の長さが自ずと思われる。
その幽玄な景色の中に現れる蓼科大滝は、名前とは裏腹に規模こそ大きくないものの、時間に磨かれた品格を具えて落ち着いた佇まいを見せており、落ち流れる水の音と相俟って何とも好もしい。
当方の周辺には他にも同じような小さな名所が散在している。
これからは意識的にそれらへも訪れようと思う。