蓼科高原日記

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固形燃料25gによる湯沸かし

前記事に書いたように、固形燃料「ニイタカ カエンニューエースE 25g」一つを燃焼させて500mlの水を沸かしてみたところ、沸騰させることができなかった。

 

これについて、そもそもそれだけのエネルギーをこの固形燃料が有しているのだろうかと、メーカーのページなどを参照してみたが、当該データは見つからなかった。

 

しかし、成分はメタノールというこなので、その燃焼熱から総熱量を計算してみると、

 

5.6[kcal/g]×25[g]=140[kcal]

 

一方、水500ml=0.5kgを沸騰させるには、元の水温を10℃、当地の標高における沸点を95℃とすると、

 

0.5[kg]×(95-10)[℃]×1[kcal/kg℃]=42.5[kcal]

 

数学屋の感覚では、これなら何の問題もなく沸騰させられるのではと思うのだが、暖炉のような単純な機構での燃焼効率は10-30%らしく、固形燃料の場合、使い方からしてこれに類することを考えると、やはり無理があるようだ。

 


となると、沸騰に至らしめるには、先ずは沸かすべき水の量を減少させることが第一、さらに発生した熱を極力無駄なくそのために使われるよう留意することも重要ということになる。

 

この点については、風の影響がかなり大きいようで、風速2mほどの条件下では無風時に比べて燃料消費が3倍となるとのデータも目にした。

 

実際、今般の試行においては、窓を細めに開けて換気扇を回していたため、少なからぬ空気の流れを感じていたので、少なからぬ熱のロスが生じていたに違いない。

 

また、鍋に結露が生じていると、その気化に熱が使われるというのも、思い当たる節だ。

 

 

 

 


が、ここまでくれば、逆に固形燃料の経年劣化の方は気にする必要はなさそうである。

 

そこで、上の事項に留意して再度湯沸しを試みた。

 

今回は300ml強の水を用意。

 

そして換気扇は止め――といっても閉め切りはまずいので、対面した二つの窓をそれぞれ細めに開けて換気を確保した上、固形燃料に着火して鍋をかけ、そこに結露が生じたら布巾で拭き取ることにした。

 

その結果は、前回よりずっと速やかな沸き方が観察され、今度もまた湯を沸かすだけでは能のない気がしたので、途中で切り餅を投入したところ、十分にやわらかくすることができた。

 

沸騰に関しては、ぐつぐつと沸き立つところまではやはり至らなかったものの、細かな水泡が盛んに上がっていたの一応その段階にまで達したと言ってよいだろうし、1合の米を炊く際の水量は200mlほどゆえ、この固形燃料とポケットストーブ、さらにメスティンを使用しての炊飯はできそうである。

 


余談となるが、ダイソーでポケットストーブを見つけた際、その隣に固形燃料用火皿が置かれており、これも併せて入手しようかと思ったが、手持ちの「カエンニューエース」は下部がアルミ箔で覆われており、「容器不要」とも謳われていたため、購入は見合わせた。

 

しかし実際に使用する段になると、融けた燃料がアルミ箔の外側を伝ってポケットストーブを汚すのではないかという不安――もっとも、そうなっても機能には何ら影響はないのだけれど――が生じ、これを防ぐ手はないかとしばし考えた末に見つけたのが、次の画像にある缶コーヒーの蓋で、まさにカエンニューエース25g用ではと思うほどサイズ的にぴったり。

 

20220322-ポケットストーブ

 

燃焼後に確認したところ、この蓋の中は綺麗なままで、上の懸念は杞憂だったのだが、アルミ箔なしの固形燃料を使用する機会もあるだろうから、併せ持っておこうと思う。

 

ついでにもう一つあれば、火消し蓋にとして役立ってくれそうだ。

 

なお、この蓋二つは、入手したポケットストーブに収納でき、これもまたぴったりなのだ。

 

すなわち、仮にメスティンへ収納可能な、一回り小さな新製品のポケットストーブには入らないわけで、これが置かれていなかったのも、私にとっては天の配剤である。