蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

満州朝鮮復刻時刻表

今年に入って、ひょんなことから漂泊の想いが心に湧き上がって止まなくなり、それに突き動かされて古今東西の時刻表をいくつも漁る羽目となったことは以下の記事などに既述し通りである。

 

lifeintateshina.hatenablog.com

 


その流れに身を任せている内、また一つ欲しいものが目の前に現れ、矢も楯もたまらず購入してしまった。

 

新潮社の「満州朝鮮復刻時刻表」である。

 

20230415-満州朝鮮復刻時刻表

 


これは一冊の書籍ではなく、戦前、昭和10年から15年にかけての満洲、朝鮮、台湾、樺太で発行された時刻表の復刻版セットで、次の冊子が箱ケースに収められている。

 

満洲支那汽車時間表
・朝鮮列車時刻表
樺太国有鉄道列車時刻表
・列車時刻表(台湾日日新報社)
・[解説]

 


このように各地域それぞれの独立した時刻表なので、当然体裁も異なり、また鉄道敷設の程度もまちまちゆえ分量の点でも大きな差がある。

 

特に樺太のものは一枚のぺら紙に過ぎないのだが、これも当時の状況が如実に反映されているわけで、歴史的資料としては却って好ましいと言うべきだろう。

 


さらに、いずれも発行は日本人の手で行われていたものなので、日本との連絡便に関する情報のほか、内地から各地を訪れる旅行者のため、「税関検査に就いて」「支那方面旅行者の心得」といった注意事項も掲載されているのも興味深く、これらを眺めていると何となくその頃の海外旅行の情趣が感じられてくるから不思議だ。

 

無論それは至極漠然としたもので、かつ実際そんな感じであったかどうかも定かでないのだけれど、時空を隔てたこの旅情に浸るのは何とも愉しく、この心持だけは厳然とした事実である。

 


さて、そんな旅情や気分に肉付けを加えるに格好のものとして、同じ新潮社の出した「日本鉄道旅行地図」の歴史編成版である「満洲樺太」と「台湾朝鮮」が目に留まった。

 

そもそも「満州朝鮮復刻時刻表」は、これら地図帳の刊行に合わせて出したものということなので、恐らく上の目的には最適だろう。

 

ただ、時刻表と違い両者はいずれも既に絶版となっているため、古書市場に手頃な価格で出るのを待とうと思う。

 


また、「満鉄記録映画集」なるものがDVD化されていることも知ったものの、メディアがメディアだけに高価なため、購入は些か躊躇われる。

 

しかしレンタルサービスでも取り扱われていたので、早速それを借りた。

 

特に第2巻の内容は満洲への旅をPRする映像、弥が上にも期待は高まる。

 

物欲が漸次深くなっていくのは困りものだが、これで趣味の世界がそれ以上に拡まるなら良しとすべきだろう。

 

先立つものの関係もあるが、野放図に何でも欲しているわけでもなし。