蓼科高原日記

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時刻表いろいろ―JR(交通新聞社)版

その名称、およびみどりの窓口に常備されているという事実から、いわゆる「JR時刻表」が公式時刻表だとこれまで思っていた。

 

現在は実際その通りなのだが、この状況になったのは1987(昭和62)年に実施された国鉄の分割民営化以後のことで、それまでは先に取り上げたJTBの時刻表が「国鉄監修 交通公社の時刻表」として公式の地位にあったということである。

 

両者の歴史を見ると、JTB版のルーツである、日本旅行文化協会による「汽車時間表」の創刊が1925(大正15)年なのに対して、JR時刻表の元となった弘済出版社の「全国観光時間表」の出現は1963(昭和38)年とずっと近年のことであり、上の事情はこの事実によるところも大きいのだろう。

 


交通新聞社から発行されている現在のJR時刻表は、JR各社の編集による列車時刻情報を一冊に統合したものなので、自然、各社のエリアごとにまとまって掲載されている。

 

一方、JTB時刻表は、かつて国鉄一社体制の下、在来線長距離列車が数多運行されていた時代のページ割りを今に受け継いでいるので、必要なら乗り継ぎを重ねながら普通列車で延々と線路を辿るにはJTB時刻表の方が適しており、そのような旅を好む向きにはこちらの愛用者が多く、次々と開通開業した新幹線により在来線が分断されてそのような旅がし難くなった現在も、長年の愛着から依然として利用し続けられている部分も大きいようだ。

 

 

 

 


あまり知られてはいないと思う(個人的には今般初めて知った)が、実はこのようなユーザに訴えるべく、交通新聞社は別の時刻表も出している。

 

「文字の大きな時刻表」がそれである。

 


この「文字の大きな時刻表」のサイズは「JTB時刻表」「JR時刻表」と同じB5、しかし文字の大きさは、その名称に違わずJTB版「大きな時刻表」とほぼ同じとなっている。

 

そして、「文字の大きな時刻表」の縮小版として、B6サイズながら文字の大きさはJTBおよびJRの標準版と同じ「全国版 コンパス時刻表」も用意されている。

 

20230525-時刻表いろいろ―JR(交通新聞社)版1

 


さて、エリア別掲載の「JR時刻表」に目を戻すと、こちらにも現在、サイズの小さい「小型全国時刻表」のあることがわかった。

 

また、少し古い「携帯全国時刻表」なるものも目にしたが、果してこれが「小型全国時刻表」の前身なのか否かは、追って確認してみたい。

 


これらのことを調べるのと並行して古書市場を眺めている内、上の挙げたすべての種別の時刻表に次々と邂逅し、いずれも手頃な価格が付されていたことから、その都度購入した。

 

一体自分は何をしているのだろう?――とは思うのだが、こんなに速やかに揃うのも一つの天の配剤、手を伸ばしてよかったという気もする。

 

20230525-時刻表いろいろ―JR(交通新聞社)版2