蓼科高原日記

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岩波講座 日本歴史2 古代2

学術全般に亘り、広く専門的内容を包含する巨大な叢書体系「岩波講座」において、先にご紹介した「世界歴史」と対をなして歴史学を取り扱ったものが、「岩波講座日本歴史」である。

 

「世界歴史」同様、この「日本歴史」も、次に示すように戦前より改版を重ねながら、この分野における研究成果を連綿と世に送り出している。

 

第1次:1933-35年
第2次:1962-64年
第3次:1975-77年
第4次:1993-97年
第5次:2013-15年

 

この内、第4次シリーズはそのタイトルを「岩波講座日本通史」と変え、構成も歴史の流れを捉えやすい形を採っており、これは「世界歴史」の新版(第2次シリーズ)に対応するものといえよう。

 

具体的には、本編全20巻において、それぞれの時代の

 

・通史:政治・経済・社会の総合的概論
・論説:特に重要な主題に関する特論
・文化論:代表的文化についての特論
・特論:注目すべき事項に関する特論

 

を含んでいるようだ。

 


今回私の読んだのは、その「日本歴史」第3次シリーズ全26巻に属する、「第2巻 古代2」である。

 

20210923-岩波講座 日本歴史2 古代2

 

因みに、本巻の目次およびそれぞれの執筆者を挙げると、

 

1. 国造制の構造(八木充)
2. 古代国家の形成(吉田晶)
3. 群集墳と古墳の終末(森浩一)
4. 大化の改新と東アジア(井上光貞)
5. 貴族文化の発生(佐伯有清)
6. 律令制の形成(早川庄八)
7. 都城と律令国家(岸俊男)
8. 記紀神話の成立(岡田精司)
9. 古代社会論(門脇禎二)

 

であり、門外漢の私でもいくつかの尊名を記憶しているくらいなので、いずれも優れた学者の手になる論説であることが窺われる。

 


もっとも、ではその内容の良さを十全に理解できたかとなると、誠に遺憾ながら、「唯」とは到底言い難い。

 

その理由は、基本的には「岩波講座 世界歴史 古代2 地中海世界II」で述べたのと全く同様なのだけれど、恥ずかしながら今一度そこからの引用の形で記しておこう。

 

すなわち、

 

実際、古代―中世―近代―現代というそれぞれの時代区分の中、世界の各地域およびそれらの間の交渉をテーマとして書かれてはいるのだけれど、第1巻および2巻を読んだ限りの印象としては、複数の筆者がそれぞれの専門分野に焦点を絞って記述するスタイルもあってだろう、歴史を大きな流れで全体として捉えるのはなかなか難しい。

 

無論、これは私の基本的な歴史知識が貧弱なことが根本原因であり、それを具えた読者にとっては、通史の表にはなかなか現れない関係を見出したり、個別のトピックを深めたりするには申し分ない。

 

これに加え、本巻の扱う日本古代史においては、漢字の読みにも悩まされたことを白状しておこう。

 

以上を鑑みるに、この「日本歴史」も、やはり概論的通史を一通り読んだ後で繙くべき書籍だということを改めて認識した。

 

確かそのような本もあったはずだが――と我が書架を眺めたところ、西洋・東洋そして日本の通史がそれぞれ見つかったので、「世界歴史」「日本歴史」とも、次巻からはまずそれら通史の当該時代を俯瞰してから取り掛かろうと思う。