思い立って、薪ストーブから石油ストーブへ転換することにした。
その理由を大きなものから順に挙げると、おおよそ次のような具合になる。
薪作りが大変
その元となる原木や玉材も安くはない
湿度が大きく下がる
薪を運び入れる際などに屋内が汚れる
ストーブ本体や煙突のメンテナンスが面倒
……
無論、薪ストーブにはこれらを補うだけの美点があり、だからこそ、これまで暖房の主役として働いてもらって来た訳だが、たとえば上の筆頭と末尾に挙げた事項について、まだ当分は問題ないにしろ、将来的には体力的に難しくなると同時に危険度の増大も避けられず、この点を見ても、そろそろ代用品を考えておくべきだろうと思ったのである。
そこで購入すべき製品の検討に入ったのだが、その前提としたのは以下の使用条件・用途である。
まず、ストーブを使う場所は、リビングとそれに隣接する和室との間仕切りを開け放した、30畳近くのスペースである。
かなり広いことは広いながら、ストーブ単体で暖をとるつもりはなく、室温を上げる役割はファンヒーターに担ってもらい、ストーブはその温度を維持してくれればよい。
そして、その室温も、20℃や18℃といった一般的な数値よりずっと控えめで十分なのだ。
また、一酸化炭素の発生面から、点火・消火を繰り返すような使い方は避け、継続して燃焼させながらその室温維持を実現したい。
これらを考慮するに、単にスペースを基準にした場合より数段小さなものの方が望ましそうである。
さらに、現在のような灯油高騰のご時世に暮らしていると燃費(燃料消費量)も気になるところだが、そもそも石油ストーブでは、車のように別形態のエネルギーへの変換を行うわけではないので、数値の差はほぼ暖房能力の違いに直結していることがわかった。
つまり、広い部屋を暖められる大型機は、小部屋向けの小型機より必然的に大きくなるということだ。
実際、暖房出力[kW]を燃料消費量[L/h]で割ってみると、機種間での差はほとんど見られなかった。
従って、単純に暖房能力に基づいて選べばよいことになる。
こうして指針が決まったので、いよいよ具体的な機種選定だ。
初めは、大きめのモデルで火力調節のできるタイプがよいのではないかと考えたのだけれど、取扱説明書をダウンロードして眺めると、不完全燃焼による一酸化炭素の発生を避けるため、「高地では最大火力で使用」するようにと注記されていたことから、やはり小型機に目を向けた。
あとは当方にとって適正な暖房能力はどの程度か――となるが、何分比較すべき基準がないのでわからない。
結局、暖房能力が上れば当然価格も高くなるのだから、まずは小さな機種を購入し使ってみて、もし暖を得るのに不足するようなら、もう一台買えばよい――というところに考えが落ち着いた。
そして選んだのが、「コロナ RX-2221Y」である。
本機の暖房能力の目安は「木造6畳まで」となっており、果たしてそれより遥かに広い当方の使用環境ではどの程度の暖が得られるか、なかなか興味のあるところだった。
昨日までちょうど冷え込みが戻っていたこともあり、早速何度か使ってみた結果を言えば、正直、やはり小さすぎたようである。
外気温が0℃程度あれば、わずかずつながら室温も上がっていくが、外が氷点下5℃ほどまで落ちると、それを維持できずに徐々に低下を来たしてしまう。
これから推すと、マイナス10℃を下回るのが普通であるこの地の一二月では、力不足となりそうだ。
もっとも、まだ最大4時間程度しか連続燃焼させておらず、それ以上燃やし続けた場合の状況は未確認なので、次の一冬、じっくり観察した上で判断を下せばよいだろう。
万一のために薪も残してあることだし。