蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

カセットデッキ(ラジカセ)磁気ヘッドの消磁

三洋電機の往年のラジカセ、U4-W26(K)でカセットテープを再生すると、何となく音に籠りがあるように感じられ始めた。

 

これを使い出してから半年余り、カセットテープ再生の頻度はそれほど高くはないのだけれど、今までに一度も消磁を行っていないので、どうも磁気ヘッドの帯磁が原因らしい。

 

20230622-三洋電機 ラジカセU4-W26(K)

 


消磁をしなかったのは他でもない、そのための器具であるヘッドイレーサー(消磁器)を保有していないからだ。

 

実は、昨秋にSONYのCFD-700 DoDeCaHORN CDと相前後してラジカセを入手した際、クリーニングキットに加えてイレーサーも、と考えたのだが、新品はもちろん、中古品でもそれなりに値の張ることを知り購入は見合わせたのである。

 


昔、カセットデッキを含むシステムコンポを愛用していた時には、カセットテープが主な音源だったこともあって当然イレーサーは手元に置き、消磁も定期的に実施していたのだが、CDを中心に聴くようになってカセットデッキの出番がなくなり、やがて不具合も出てこれを手放した後、イレーサーの方もいつの間にか姿を消してしまった。

 


今これが残っていたら――という思いは禁じ得ないものの、悔やんでもどうにもならないので、代替の方法はないだろうかと考えている内、かつてのコンポ時代も、イレーサーを入手する前に何か行っていたような記憶が浮かんできた。

 

さらに突き詰めると、テープをセットしない状態での録音や再生だったように思うが、そこにちょっとしたオプションが付いていた気がする。

 

そこでこれら記憶の断片を元にネットで調べた結果、「新品のカセットテープをセットして適当な時間録音を行う、」というものを見出した。

 

 

 

 


これに喚起される形で、かつてはテープを『セットせずに』適当な時間録音を行っていたことを思い出した。

 

両者の間に本質的な相違があるのか否かは定かでないが、いずれも直ちに実施できることから、先ず新品テープを使う方で試したみたところ、明らかに再生音が明瞭になったように感じる。

 

この正確なメカニズムはともかく、録音ではヘッドに電流を流して磁場を生じさせるわけで、元々帯びていた磁気がリセットされることは十分ありそうだ。

 

実際、さらに調べると、録音処理によってある程度の消磁はなされるので、録再兼用ヘッドを具えたデッキなら、通常一般的な使用においては特別な消磁は不要――との情報も見られた。

 


ただ、ここで生じる問題は、当方のラジカセU4-W26(K)はカセットデッキ部を二つ搭載しており、片方は再生専用のため、こちらに上の方法を適用することはできないことである。

 

そこで、今度は再生処理を利用した消磁法の探索を開始。

 

すると幸い、こちらについても「カセットテープを入れずに再生処理をキックし、しばらく継続した後、電源プラグをコンセントから抜いて処理を止める、」という方法が目に留まった。

 

処理の停止を、デッキの機能ではなく電源プラグの引き抜きという荒業で行う必要性が本当にあるのか、些か疑問であると同時にそこはかとない不安を覚えないでもなかったが、大過はあるまいと考えて実施してみた。

 

その結果はというと、やはりそれまでの再生音からベールが何枚か取り除かれたようで、数段明澄になった印象である。

 

録音処理による消磁に比べると、若干その効果は小さいようにも感じるが、これはプラセボ効果によるものと言うべきかもしれない。

 


ともあれ、いずれの方法でもよい結果が得られ、また気分よく音楽を聴けるようになったことは何よりである。