蓼科高原日記

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Pioneer(パイオニア) S-101の修理(エッジ張り替え)

Pioneer(パイオニア)の往年のスピーカー、S-101のウーファーエッジを張り替えるに当たり、はじめに行うべきことは、他の機種同様ユニットの取り外しである。

 

ただ、S-101は他の多くの機種のようにウーファーユニットが前面バッフルに留められているのではなく、内部に設けられたインナーバッフルに固定されている。

 

そのため、当然ながら前面にはねじは見られず、ユニットの分離は裏面のターミナル(端子)プレートを外し、そこから留めねじにアクセスする形となる。

 


事前に調べたところでは、そのねじは一本のみで、頭は六角穴、そして奥に固定されているためある程度ストロークの長いレンチが必要ということだったが、大きさからすると手持ちのレンチで何とか間に合いそうである。

 

そこで早速、ツイーターのグリルネットを凹ませないよう注意しながらエンクロージャー前面を下に向け作業台上に置き、端子プレートを外して内部を確認すると、なるほど太目のねじががっしりと留められていた。

 


当方のレンチは万能ナイフ型で、L字型に引き出した状態ではやはり長さが足りないが、一直線に伸ばせばねじまで届き、幸いサイズも合致するものがあった。

 

ただ、トルクの掛けにくい使い方となるので、ねじがあまりきつく締められていたら苦労するかもしれない――と思いながら力を加えたところ、あっさりと緩んだので一安心。

 

ところが、これに気をよくして回し始めたものの、なかなかねじがはずれない。

 

 

 

 


はじめは、「一本だけでユニットを固定しているだけあって、さすがに長いねじが使われているな、」と思ったのだけれど、さらに続けても一向に外れないため、次に頭に浮かんだのは「もしかしたら、ねじはタップ式ではなくナットを併用する固定法で、これらが空転してしまっているのではないか、」という考えだった。

 

しかしユニットやエンクロージャーの構造を考えるとこんな留め方をしているとは到底思えず、暫し途方に暮れた末、何気なくエンクロージャーを立てたところ、ゴトリ、とウーファーが前方へ転げ出た。

 


一瞬、何が起こったのかと呆気にとられたが、ねじを確認するとややサイズは大きめながらタップの切られた普通のねじ、これがなぜいくら回しても外れなかったのか――と思うと同時に気が付いた。

 

何のことはない、ねじは疾うにねじ穴から抜けていたのだが、コーン駆動用マグネットの強い磁力に引き留められていたのである。

 

実に単純なことで思わぬ足止めを食ってしまったものの、事情が判明すれば簡単、もう一台はあっさりとユニットを外すことができた。

 

20230602-Pioneer(パイオニア) S-101の修理(エッジ張り替え)1

 


以後は通常のエッジ張り替えの手順通り、ガスケットを取り外して古いエッジを除去した上、新エッジの接着・ガスケットの装着と進んで最後にユニットをエンクロージャーへ取り付ければよい。

 

これらについては過去に何度も書いており、今般の機種特有のことも別段なかったので詳細を述べるのは控えよう。

 


ただ一つ、接着剤は従来と同じ水性の「アルテコ パワーエース 速乾アクリア」を用いたが、ガスケットとフレームはそれぞれゴム・金属と双方多孔質でなく、一部ウレタン製エッジが挟まってはいるものの、両者間は十分な接着力の得られない恐れがある。

 

これまでの機種でも同様ながら、そのいずれも最終的にはねじでエンクロージャーへ留める形であったため問題視しなかったこの点が、背面からインナーバッフルへ固定するS-101では果してどうなるか、些か不安ではある。

 

しかし、万一外れるようなことがあれば、より強力な接着剤でガスケットを張り直せばよいだろう。

 

20230602-Pioneer(パイオニア) S-101の修理(エッジ張り替え)2

 


こうしてともあれ作業は完了。

 

音質についてのインプレッションはいつものようにしばらくエージングをかけてからご紹介したい。