蓼科高原日記

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DAC(FX-00J)による音質向上の拠所

先の記事「DAC(D/Aコンバーター、FX-AUDIO製FX-00J)」において、従来の

 

(1) PC---(bluetooth)---デジタルアンプ---スピーカー

 

という構成では、耳に障るとともに低域に貧弱さを覚える再生音であったのに、このFX-00Jを挟んで

 

(2) PC---(line)---FX-00J---(line)---デジタルアンプ---スピーカー

 

としたところ、音のとげとげしさが解消し、低音も太く・強く鳴るようになったとご紹介した。

 

また、PCと真空管パワーアンプの間にこれを入れた場合は、上のような顕著な相違は生じなかったことも述べた。

 


一体なぜ、どのような理由・機構でこのような事象が現れたのかが不明なままだと何となく気持ちがすっきりしないので、これについて少々頭を悩ませてみたのだが、その結果として、「DACの導入により、倍音成分の再現性が向上したためではないか」との考えに行きついた。

 

何となれば、まず、これにより、デジタルアンプにおける音の特質だった刺激性は小さくなるはずだ。

 

実際、(2)における再生音からは、(1)で耳についたきらきらとした音素が融け、それが基音を包み込んで音色に艶を添えると同時に、音場感も醸している印象を受ける。

 

真空管アンプの場合は、この倍音再現性が元々優れているため、FX-00Jを加えてもその効果が出なかったのではないか。

 


もう一つの、低音に生じた効果に関しては、次のように理解できるように思う。

 

倍音は、当然次第に周波数が高くなっていくわけだが、低い基音の倍音にはそれ自体低域に属するものが多いわけで、これらが欠けてしまうと、「低音」としての響きは大きく目減りしてしまうに違いない。

 

(1)で起こっていたこの問題が、DACを入れたことで解消し、低音の大幅な量感アップが実現したのではないだろうか。

 


以上はあくまで私の観察および推論に基づく現象論的解釈だが、ともかくここに達して個人的にはだいぶ気持ちは落ち着いたし、より根本的な理解・解明には各製品の仕組みの細部まで把握することが必要で、到底そこまで追い込む余裕も、関心・気力もないことから、まずこの辺りで良しとすることにした。

 


それから、真空管アンプにDACを繋ぐと音量が数段上がるのに、デジタルアンプではこれが見られないと書いた件は、単に私の観察不足で、後者でもやはり起こっていることが判明した。

 

これも前にご紹介した通り、デジタルアンプのボリュームに少々癖があり、ちょっとしたつまみの位置の違いで音量が大きく変わるため、気付かなかったのである。

 

FX-00Jにおけるデジタル→アナログの変換では、若干の信号増幅もなされるらしい。

 

それとも、オンボードのDACが信号の減衰を生じているのか……