従来、メイン・オーディオとしての位置を保っていたのに、真空管パワーアンプの到来により次席に格下げとなった感のある「TEAC TD-X300i」。
それに機嫌を損ねたわけではないと思うが、近頃、壁に掛けて使用しているスピーカーが壁板の共鳴を引き起こし、楽曲によってはかなり耳に障る状況となっている。
面白い――と同時に当然とも言える――のは、共鳴の生じるのは特定の高さの音のみで、その周波数に当たるものでも、音色により顕著に出る場合とそうでない場合の見られる点だ。
具体的には、ベース・ギター・ピアノ、すなわち弦から発する、恐らく200-250Hzあたりの音で、無論、音量も関係しており、こちらも当然、音が大きくなるほど共鳴も酷くなる。
次席に落ちたサブオーディオとは言え、このTEACも少なからず登場願うシステムなので、このままでは少なからずストレスを覚えることから、この状況を何とか改善すべく、方策を検討の上、対処を実施した。
もっとも、例によって大上段に構える積もりはなく、まずは極力手元にある資材を利用し、いくらかでも改善しようというのが基本方針である。
このスピーカーは元々壁掛け式での使用も想定されており、そのための取り付け具としてブラケットも付属している。
従来、これをそのまま利用し、スピーカー上部にブラケットを取り付け、これを壁面に打ち込んだ木ネジに掛けるとともに、下部は床置き用を兼ねるスタンドを壁に着ける形で支えていた。
ほぼ間違いなく、これはメーカー想定通りの方式であろう。
さて、これで壁板の共鳴が生じるとなれば、疑うべきは、上部のブラケット―木ネジと、スタンド―壁面という直接の接点である。
もっとも、スタンドには硬質ゴムの足がついているので、これにより振動はかなり減衰されるだろうから、第一にブラケット―木ネジの部分に対処を施すべきだろうと考えた。
手持ちの品でこれに使えそうなものは――と思案すると、ある!輪ゴムだ。
そこで、まず通常サイズ(?)の直径5cm程のものを木ネジに巻きつけてみたが、太くなりすぎてブラケットに開いた穴に通らない。
そこで直径2cm程の小さな輪ゴムに替えたところ、これでもまだ若干太目だが、少し力を加えた結果、しっかりと嵌め込む感じで掛けることができた。
そして音の確認。
先にかなり顕著に共鳴の生じた、「Stan Getz And The Oscar Peterson Trio」を再生してみると、酷かった共鳴はほとんど完全に消失していた。
しかも、他の周波数帯――特に低域――の音について、かっちりと引き締まった中での躍動感とでも言うべきものが加味された感じがする。
今回の問題は、原因がはっきりしていたということもあるが、たったこれだけの対処で極めて大きな成果が得られた。
もし改善の度合いが小さかったら、さらにスタンド側に防振シートを挟むなどの処置を重ねてみようと考えていたけれど、こちらは全く必要なくなった。
オーディオの工夫を楽しんで、そのうえ音楽を聴く愉しみがまた少し増した。