大物のオーディオ機器が我が家へやって来た。
といっても、それは価格についての評価というより、文字通りサイズにおける大物、SONY製スピーカー「SS-G333ES」である。
従来、当家にあった最大のスピーカーは、公称27cm径のウーファーを具えたDIATONE DS-66EXで、その深みのある音には十分満足していた。
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しかし、人間の欲望というものは困ったもので、その満足に素直に安住することができず、より大きなユニットからはどのような再生音が響くのだろう、きっとさらに素晴らしいものに違いない――といった思いが沸々と心に湧き上がるのが通例だろう。
もっとも、さすがにこれに無抵抗・無条件に従う気はなく、また色々な制約から従うこともできないので、何とかなだめすかしながら暫く過ごしてきたのだが、機会があればとの思いは常にあり、予算を定めた上で市場――もちろん中古品市場である――は眺め続けてきた。
無論、闇雲に物色していたわけではなく、ある程度ターゲットは絞ってのことで、具体的にはオーディオ界華やかなりし1980年代後半に発売された機種である。
その内、もっとも多く出回るのはDS-66の兄貴分たるDS-77シリーズで、時折破格な品も目にするのだけれど、このスピーカーの本領を発揮させるにはかなり奢ったアンプが必要との情報が散見され、果たして我が手持ちのもので足りるかとの懸念が払拭できなかったことに加え、DS-66と77とはコンセプトが違うとの見解があるにせよ、音の基本的性格はやはり類似しているのではないか、どうせ買うなら色合いの違うものにしたい――といったことから、なかなか手が出せなかった。
もう一つのスピーカーは、所謂598戦争の嚆矢となった、ご存じONKYO D-77シリーズだ。
こちらもDS-77に次いで頻繁に中古市場に出回るが、価格はやや高め、そして元々具えていたウレタン・エッジは経年による劣化でまず間違いなく崩壊しており、張り替え・張り直しが必要、といった問題があった。
個人的に、このエッジの張り直しについては決して吝かではないのだが、問題はサイズ的にフィットする交換用エッジが安価でなく、仮に本体を入手できても、スピーカーとして機能させるにはトータルでそれなりの出費となってしまう点だった。
他に食指を動かされたのは、VICTOR SX-511、そしてSONY SS-G333ES、など。
そのSS-G333ESに、先日、ある小さなリサイクルショップでばったり出会ったのである。
しかも、そに付されていた値は正に破格だった。
これで状態がよければ何も言うことはないのだが、さすがに話はそう上手くは行かず、実際は埃塗れのよれよれの姿で片隅にしょんぼりと蹲っており、鳴るか鳴らずか機能も未確認という状態だった。
さらに、こちらは本来ラバーエッジらしいが、それが経年劣化で完全に硬化し、ひび割れや欠けがあちこちに生じており、張り替えが必須である。
ただ、とにかく値が安いので、交換用エッジの調達金額を加算しても予算内に収まりそうだ――と思い切って購入したのである。
と、ここで今一つの問題が発覚。
店側では直接引き取って欲しいとのことだったが、その時は車行ではなく、もちろん二台で60kgを超える物を手に提げて帰るわけにはいかないので、あれこれ頼んで漸く配送を了承してくれた。
その送料が本体価格とほぼ同じになってしまったのは致し方ない。
さて、こうして商談が成立し、画像の通りものは既に届いたのだが、実は開梱の際に大失敗をやらかしてしまったのである……