蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

真空管パワーアンプ

年明け早々、真空管プリアンプを購入したことを契機としてオーディオづき、代替の真空管を入手してあれこれ差し替えたり、以前使用していた機種を引っ張り出して設置や工夫など手を加えたりしてきたが、一旦は諦めた「真空管パワーアンプ」に対する未練がどうしても消えず、今般、とうとうこれも購入してしまった。

 

元々このジャンルの知識はほとんど持ち合わせていなかったので、さてどの機種を選ぶべきかという大問題が生じる。

 

しかし、予算という支配的な制約があるし、そもそも今回の興味は、「良い音を追求する」ことではなく、単に「どのような音が再生されるのか」を確かめること、および、真空管を替えたりして色々といじってみたいという点にあることから、実際のところ、物色対象が自動的に大きく絞られた状態からのスタートとなった。

 

とはいっても、ほんの二三の中からの選択というわけにはいかず、初めは、回路が基板上に整然と組まれている物が良いのではと考えたのだけれど、色々調べるうち、「真空管オーディオの回路は素子同士を直接導線で結ぶ立体配線が正統(?)」といった流儀も根強いことを知り、なるほどそう言われればそんな気もしてきて、結局、「キット製品を手で組み上げた完成品」から選ぶことにした。

 

無論、キットそのものを買って自分で組み上げても良いのだが、現在手元にはそのための道具類はなく、また知識・技能も持ち合わせてはおらず、それを身につけてから――というほどの気力も時間も金もさらになく、そもそも上に書いた通り、先ずはちょっと聴いていじってみようというのが目的であることから、かく決めたのである。

 

 

 

 


で、最終的に購入したのは、現在この分野で圧倒的存在感を見せている中華製品の一つ、整流管が5Z4P、プリ管として6N1、パワー管には6P3Pなるものを2本具えた、各段すべてが真空管の純正アンプである。

 

注文してから手元に届くまでにちょうど一週間、同種の商品の納期からするとかなり迅速な対応をしてくれたようだ。

 

梱包に関しては、例によってお世辞にも見てくれがよいとは言えない状態だったものの、肝心の詰め方は、製品本体が宙に浮くよう上手く緩衝材で囲まれており、真空管についても、これならまず大丈夫だろうという感じだった。

 

しかしながら、同梱されている物を確認したところ、いくつか気になる点が見つかった。

 


まず、真空管について、整流管とパワー管が、商品ページの画像とは異なっている。

 

そこで型番を確認してみると、整流管は商品説明にあった5Z4Pではなく、それと同等のロシア製、ラテン文字標記での5C4S。

 

パワー管は、形こそ違うものの、型番は商品説明通り6P3Pで、こちらはどうもモデルチェンジされたらしい。

 

少々腑に落ちない気持ちはあったが、強いて交換や返品を求めるほどでもないので、これらは不問に付すことにした。

 


もう一点は、シャーシ(筐体)の底板がなく、配線がさらされてしまっていること。

 

これに関しては、底板の写っている商品画像は確かになかったのだが、念のため販売元に問い合わせた結果、「元々そのような仕様」ということで、裏返しに設置して使用しない限り実害の生じるものではなく、もちろんそんな使い方はしないので、納得することにした。

 

 

あと一つ、これは予め認識していたものの、ボリュームのつまみとシャーシの足が、どう贔屓目に見ても安っぽさを否めない。

 

20210310-真空管パワーアンプ1

 

実際、高価な製品ではないのだから致し方ないのだけれど、部品として適当なものが入手できれば見栄えが大きく改善しそうなので、これは追って取り組んでみたい。

 


さて、真空管を差し、スピーカーおよび電源コンセントへ接続してメインスイッチを入れると、無事フィラメントが点った。

 

なるほど、これはなかなかいい感じである。

 

20210310-真空管パワーアンプ2

 

ボリュームを上げると、ブーンという所謂ハム音が生じるのは些か気になるが、音源を繋いでその電源を入れると(再生はしないでも)完全に消えるので、まあ良しとしよう。

 

そしていよいよ音出しと相なったわけだが、これについては稿を改めてご紹介したいと思う。