蓼科高原日記|ささやかな山暮らし

音楽・本・映画・釣り竿・デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた山暮らしの日常

世界山岳全集5(朋文堂)

「世界山岳全集」は、昭和35(1960)年から翌年にかけて朋文堂から発行された、全13巻本である。

 

同種のものとして、少し後にあかね書房から「世界山岳名著全集」12巻が現われ、こちらには姉妹集として、先立つ「日本山岳名著全集」もある。

 

当初はこの二つを書棚に並べようと目論んだのだが、ある時、朋文堂のものが投げ売りされているのを目にして、そのまま見過ごすのも少々惜しかったのでこれを購入してしまった。

 

タイトルからも想像される通り、両全集には共通して収録されている文章も少なくない。

 


この「世界山岳全集5」に収められているのは次の3編。

 

・アルピニストの心(ジャン・コスト)
・山における若き人間(レオ・マドゥシュカ)
・ある登山家[ウィリー・メルクル]の生涯(カール・マリア・ヘルリヒコッファー)

 

20210523-世界山岳全集5

 

いずれも若くして山で生命をおとした登山家の、山に対する想いが綴られているが、最後の一遍はウィリー・メルクル本人ではなく、弟氏の手になるものである。

 


この種の山岳に関する文章は、個人的にどうも読み難いものが少なくない。

 

山岳行はまだしもだが、登攀記になるとやや手古摺り、「山の哲学」にはかなり難渋する。

 

これは主に、私が実際に登山をしないことに因るのだろうけれど、文章自体にもやや読み難い点があるように思う。

 

本来なら、この両者を上手く打開・超克して文章の真髄を味わうべきだが、それはまあ将来の愉しみに取っておくとして、取り敢えずはざッと読み進めている。

 

 


ただ、時には、訳に問題があると思わざるを得ない作品に出くわすことも事実だ。

 

無論、訳者の原語知識の欠如を疑わせるような、文章の本質が損なわれている例はまずないものの、日本語としてこなれておらず、これにより読み難さ――というより不快さが引き起されるのは正直頂けない。

 

この辺は推敲や校正でほとんど除去できると思うのだが、それが残ってしまうのは、出版までのスケジュールに追われた結果かもしれない。

 

適当な機会に手直しを――といっても、これまたそれなりに売れ行きが良かった上でのこと。

 

そこまでいかず瑕疵が永らく残ってしまうのは、他人事ながら残念だ。