先月、初めて「秋の乗り放題パス(大人7,850円)」を利用して旅をした。
これはJR線の普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーに三日間乗車できる切符で、秋に設定のない青春18きっぷの空隙を埋める役割を果たしているとも言えそうだ。
ただ、乗車できる三日間は連続で、さらに利用開始日を購入時に指定しなければならない点が青春18きっぷと異なっている――などと書いた後、この冬(=2024年12月-2025年1月)用の18きっぷもこの形になってしまったことを知った。
旅の行先を決めるに際しては、いつものように往路と復路で同じ路線を辿ることはできるだけ避けたいという気持ちがあったのだが、三日間でぐるりと周る適当なルートは見出せず、さらに連続という制約の下では移動なしの日を設けて観光に当てるわけにもいかず、なかなかこれという案は思い浮かばなかった。
考えてみれば、そもそもきっぷの制約がある上に、自分の嗜好に基づくとはいえ重ねて縛りを加えては窮屈さが増すのは当然である。
そこで今回は、ルートに対する拘りやきっぷの特性を可能な限り活かそうなどということは気にせず、素直に今現在訪れたく、かつ秋の乗り放題パスで行けるところへ向かうことにした。
そして立案したのが、京都と倉敷への二泊三日の旅である。
京都はこれまでに何度か訪れた経験があるものの、それらは春、夏そして冬のことで、秋はない。
秋の乗り放題パスと言っても、10月20日までという利用期間からしてその季節を多分に感じるのは難しいだろうけれど、せめて片鱗でも看取できればよい。
一方の倉敷へはつい今年七月に行ったばかりだが、その節には大原美術館へは入館しなかったし、予て興味のあったジャズクラブでのライブもちょうど休演日で聴けなかった。
これら個人的な宿題を果たすとともに、先に訪れていい時間を過ごさせてもらった喫茶店も再訪したかったのである。
そんな京都および倉敷へ当方から出向くとなると、中央西線、東海道本線および山陽本線を往復するのが一般的経路で、七月から既に複数回辿ったこともあって新鮮味はない。
そこでここを少し工夫できないかと、身延線で東海道線へ出る、京都へ至るに湖西線を使う、そこから倉敷へは山陰本線・福知山線・加古川線・播但線・姫新線・津山線などで――とも考えたが、今般の主眼はあくまで京都と倉敷の観光であり、最短アクセスを採ってさえ決してそれに十分な時間を確保できない状況では、いずれも断念せざるを得なかった。
ただ、帰路の一部に山陽本線と並行して走る赤穂線を入れ、僅かに新味を加えることにした。
京都へ午後一時前に着いて翌日の10時半まで、倉敷では午後二時から翌九時までといずれも短い滞在ではあったが、個人的にはそれなりに充実した時間を過ごすことができた。
以下、また備忘録を兼ねてそれを記しておこうと思う。