松本から長岡までの行き方については、事前にウェブサービス「乗換案内」で調べ、次の経路を辿ることにした。
松本―(篠ノ井線)→長野―(飯山線)→越後川口―(上越線)→長岡
運賃は3,700円ということである。
駅構内へ入って、まず自動券売機の上の路線図を眺めたところ、当然なのか長岡までの乗車券は券売機では買えないようなので、みどりの窓口へ踵を向けて「長岡までの普通乗車券を、」と伝えると、「全区間各駅停車でいいのですが?」と少し驚いたような表情。
些か極まり悪くなって、「今日は急いでも仕方ないので……」と言葉を濁したところ、係の姉さんは納得してくれたようだったが、「ここでは越後川口までしか発券できないので、その先の区間分は途中もしくは到着駅で清算してください、」と言われた。
別段困るわけでもないのでそれは構わないのだけれど、理由が気にならないでもない。
しかしこれを根掘り葉掘り聞くのも何となく気恥ずかしかったので、ただ承知だけして切符を受け取った。
そして案内板でこれから乗車する列車の発着番線を確認してそのホームへ下りると、既に列車が停まっていたので慌てて乗り込もうとしたのだが、まだ発車予定時刻には間があるし、この辺りの普通列車にしては編成も長すぎる気がしたため、ちょうど通りかかった乗務員に尋ねると、「これは先発の特急で、ちょっとした事故のため遅れている、」とのこと。
続けて、ここでもまた「特急乗車券を追加購入して頂けば乗車できますよ、」と言われてしまい、先ほどと同じ対応で辞退した。
私の年恰好では、各駅停車での行程はやはり珍しいようだ。
その乗務員が親切に教えてくれた普通列車への乗車位置の辺りへ行って待っていると、やがて特急が発車し、続いてすぐ、二両か三両の短い編成の列車がホームへ入ってきた。
これに間違いない。
折り返しの始発(だったはず)で誰も乗っておらず、さてどの座席に――と見回すと、都市部の標準である長シートと四人掛けのボックス席が両方設えられており、当然後者の一つに座を占めた。
平日の昼下がり、もしかしたら貸し切りのような状態になるかもしれない――との予想は外れ、次第に乗客は増え、しかし若干の空席を残して列車は走り出した。
これでしばらく、長野駅へ着くまで、乗車するのは初めてのこの区間、ぼんやりと車窓の風景を眺めていられるわけで、また実際、その通りに過ごした。
空模様はというと、長野県は地域により大きく天気の変わるところゆえ、家を出るとき靄の中にちらついていた小雪は標高を下るとともに雨に変わり、車を走らせるにつれ曇りから次第に明るくなって、松本では青空が優勢となっていたが、列車が進むと今度は全く逆の変化を辿り始めた。
それでも「日本三大車窓(風景)」と言われる(らしい)姨捨(おばすて)駅付近では、幸い霧に閉ざされることもなく千曲川沿いの長野盆地、通称善光寺平の眺望を目に焼き付け、これも初めの、スイッチバックによる進行も体験することができた。
こうして一時間半弱、列車は長野駅へ到着。
ここで飯山線へ乗り換えである……
(続く)