ここ一週間、「TANNOY Reveal」を毎日1時間ほど鳴らしているが、以下の記事に書いたこのスピーカーの問題、すなわち、3KHzというクロスオーバー周波数辺りの中高域が弱いらしく、一部楽器の音像が頭の閊えたように聴こえる点には、何らの変化もみられない。
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これに関連してふと思い出したのは、今年に入ってから、長らくお蔵入りとなっていた古い機種を引っ張り出したり、中古や新品として購入したいくつかのスピーカーについても、それらのサウンド・インプレッション記事において、それぞれちょっとした不満点を述べたことである。
それらを引用してみると次の通り。
(1)旧オーディオの音質改善(SONY DHC-MD373)
……ただ、大きな問題が解消したことで、今度は高音域の伸びにやや欠けるのではないかという不満が出来……
(2)中古スピーカー(ビクター SP-UXWD70-H)
……先のデジタルアンプに繋いで音楽を再生すると……このアンプの特徴、悪くない音ではあるものの耳に障る――がより一層強調される感じなのである。それもあってか、全体的に潤いの乏しい乾燥した音場といった印象が強く……
(3)JBL STAGE A120 音の印象
……私には、弦楽室内楽曲を聴く際、ヴィオラを中心に据える習慣――というか癖があり、そのため気になるのかもしれないが、この楽器の魅力の一つである、軋むような渋い響きがやや硬く、些か味わいに欠ける感が否めない……
(4)ダイヤトーンDS-66EXのサウンド・インプレッション
……ただ、これと関係するのかもしれないが、高域、特に金管楽器の音色が、ややきつく感じる。トランペットの強いブローなども、歪みなくしっかり再現してくれるのだけれど、大音量ではトーンコントロールで少し響きを抑えたいと思う瞬間がある……
これらの中には、対応策に心当たりのあるものも交じっているのだが、いずれも重大な問題ではないし、また音楽の再生システムがいくつもあることから、敢えて積極的解決に取り組むことなく時間が経ってしまった。
そして、今あらためて再び自分の書いたことを眺めると、そのほとんどが自然に解消、もしくはずっと軽減したことに気付くのだ。
このことは、半分興味本位で購入して改造を施した次のケースでもまったく同じである。
(5)ダイソー300円スピーカーの改造(実行編2)
……そもそも口径5cmのフルレンジ・ユニットゆえ、中音中心の響きとなるのは否めず、人によっては高音が寂しくなったと感じるかもしれない……
無論、これらには、耳が慣れてしまったという要素も否定できないとは思うけれど、決してそれだけで割り切れるものではなく、いずれに対しても特に対処を行ったわけでないことをあらためて考えれば、これは時の経過――というより、その間、折に触れて音楽を鳴らしたことによるに違いない。
これを一括りに表す言葉を敢えて挙げれば、「エージング」である。
確かに、新品として購入した(3)(4)などは、正しくこれにあたるわけだが、(1)などは以前メインシステムとして日常的に使っていたわけで、エージングという言葉はしっくりこない。
中古で購入した残りの例についても、それなりに使用されていたであろうことを考えれば同様である。
そして、後者に関しては、一旦ある程度のエージングが施された後、使用されない期間があり、再び働き始めたことを考えれば、言葉としては「リハビリテーション(リハビリ)」を当てるのが適当という気がする。
もっとも、ここで取り上げたいのは、そんな言葉の意味づけではなく、エージングやリハビリテーションの効果・効能についてだ。
もう一度上に挙げた音の問題を見て頂けばお分かりの通り、それらは同一ではなく、中には互いに相反するものも交じっている。
にもかかわらず、そのいずれもが、エージング・リハビリテーションによって解消、もしくは改善したという事実は、不思議と言えば不思議である。
一方、人が何かの技芸に携わる場合も、それを身につけるには多年にわたる鍛錬を要し、仮にそれが達成された後でも、暫く怠れば錆つき、元の輝きを取り戻すには再研磨が要ることを鑑みれば、当然とも言える。
そして実際、オーディオからより広い世界へ目を向ければ、「もの」においても同様な事象の見られることはよく知られている通りで、このエージング・リハビリテーションなるもの、やはり軽視すべきでないと思われる。
ただ、異様に高価な製品が、「本機は、本領を発揮するまでに長いエージングを要します」などと、ご丁寧な但し書き付きで売られているような場合は、十分な用心を心掛けたい。
ともあれ、「TANNOY Reveal」も、他のスピーカーと同じように良くなってくれるといいのだが。