蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

TANNOY(タンノイ)・Revealの仕様と音質

この夏、中古で入手したものの、当初は思ったように鳴ってくれなかったTANNOY(タンノイ)のニアフィールド・モニタースピーカー「Reveal」。

 

そこに変化の兆しが見えてから二ヶ月が経過した今、本機は見違えるような変貌を遂げ、何ら不満のない音を聴かせてくれている。

 

ここまで来れば、もうその実力は概ね発揮されていることと思うので、改めてこのスピーカーの仕様と音質についてご紹介したい。

 

タンノイReveal

 


初めに、主な仕様(スペック)を以下に挙げよう。

 

サイズ:W210×H340×D260(mm)
自重:7kg
ユニット:16cmコーンウーファー+2.54cmソフトドームトゥイーター
インピーダンス:6Ω
感度:90dB
周波数帯域:65Hz - 20kHz
クロスオーバー周波数:3000Hz

 

発売されたのは1998年、小型軽量化の流れが進行している時期に当たると言えるだろうけれど、サイズは時流に沿っているとしても、7kgという自重が外へも現れてかなりどっしりした外貌を見せている。

 

エンクロージャーは側面と背面は16mm厚のパーティクルボード、そして前面バッフルは40mm厚のMDFで構成されていることも、上の感じに大きく与っているようだ。

 


続いて音質についてだが、以下の記述はビクターのプリメインアンプA-X900でドライブしての、個人的印象であることを予めお断りしておく。

 

 

 

 


まず、大局的な性格として、本機はモニタースピーカーと位置付けられてはいるものの、高い解像度により音の細部まで聴かせる印象はなく、音楽を全体として再現するタイプというべき機種である。

 

すなわち、モニタースピーカーとして使用する場合、音楽制作の途上、中盤の過程においてではなく、一通り完成された作品の最終チェックの用途に本領を発揮するものと思われる。

 


上記の通り、周波数帯域は決して広いものではないが、16cm径のウーファーをしっかりしたエンクロージャーに搭載しているためだろう、低域の再現力は質・量ともに申し分ない。

 

ただ、上は20kHzまでしか伸びていないせいか、近年のスピーカーからの音を聴き慣れた耳には、若干高域の輝きに寂しさを覚えることも無きにしも非ずで、標語的に言うなら、「金属的な輝きは抑える代わりに、木質の艶はしっかり出そうとしている」印象が強い。

 

もっともこれは、煌びやかな響きにより原音の粗(アラ)が隠されてしまうのを避けるためかもしれない。

 

ネット上に見つけた英語版のマニュアルに、「ツイーター軸の延長上に耳が位置するように」セッティングせよと明記されていることからも、本機の高音に対するタンノイの考え方が窺えるように思う。

 


なお、左右両スピーカーを約2.5m離し、その中点からほぼ3m離れた位置と、それなりの距離をもって音楽を再生してみても、音像の定位、音場の広がり、ともに何ら不自然さや不満は感じない。

 

この事実からして、本機に冠されたもう一つの修飾語「ニアフィールド」は、さほど気に掛ける必要はなさそうだ。

 


そのややアバンギャルドな風貌とは裏腹の、伝統的英国サウンド、クラシックにおける弦の響きなどの醸し出す見事な音楽表現、実に馥郁たる余韻に包まれていると、まるでコンサートホールにいるかの如き錯覚さえ覚える。

 

ジャズに関しても、「古き良き時代」の「優れた録音」の盤は、非常に魅力的に再生してくれるのだが、モニタースピーカーとして上に述べた性格も持ち合わせているため、音源によってはその本性が暴かれ、従来の愉しみが減殺されることもある点は、少々恐ろしいとも言えよう。

 

「Reveal(明らかにする、暴露する)」なるモデル名は、宜なるかな、だ。


ともあれ、このタンノイ・Reveal、リスニング用途にも十分な適性を具えたモデルであることは間違いない。

 

一万円強の投資で、本当に良い買い物をしたと、いま改めて実感している。