この時季、ベランダに積もった雪の上に残る足跡を時折目にする。
三つの窪みが一セットになったもので、一見兎の足跡のようではあるが、もちろん兎が柱を伝って上ってくるはずはない。
その他に考えられる主としては、栗鼠と鳥があり、しかし栗鼠は冬眠するだろうからきっと鳥に違いない――と長らく思っていたのだけれど、今朝、この考えが誤りであることを知った。
カーテンを開けてしばらく後、屋内でちょっとしたことをしている際、目の端に何か動くものが入ったので、そちら、表のベランダへ目を向けると、栗鼠がちょこちょこと走っていた。
それはすぐに柱を伝って地面へ下りてしまったが、今まで正体のはっきりしなかった足跡が雪の上にくっきり残っていたのである。
もう冬本番だというのに、まだ眠りに入らない、あるいは冬眠に失敗したのだろうか――と少々心配になって調べてみると、冬眠するのはシマリスのみで、当地に棲息するニホンリス(と思う)はそれに当たらないことがわかった。
そう判明してみれば、なるほど栗鼠の体型、延いては歩き方・走り方も兎に通ずるものがあり、足跡が似るのも納得できる。
この寒さ厳しい季節、食物を探すのも大変だろうから何か上げたい気持ちが湧くのだが、当然彼らは自力で生き抜く術を具えているわけで、変に便宜を与えることでその生活力を弱めてはいけない――と自重することにした。
今日は真っ青な空から明るい陽光が降り注ぎ寒さも緩んだので、栗鼠も少なからず気が浮き立って散歩に出たのかもしれない。