蓼科高原日記

音楽・本・映画・釣り竿・オーディオ/デジタル機器、そしてもちろん自然に囲まれた、ささやかな山暮らしの日常

雪二題

今日は予報に反して朝から雪模様だったが、ちょっとした用があったため敢えて家を出た。

 

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すると間もなく前方から車――と、これだけなら別に珍しくもないけれど、それが何とバックで坂を上ってくるのである。

 

正月ぼけによる奇行だろうか、関わらないようにしたいものだ――という気持ちはあったものの、除雪された雪が路肩に溜まっていて横をすり抜ける余地はなく、逃げ込むべき道もない。

 

仕方なく停止し、しばらく様子を見ていると、その車も止まり、ドアが開いて運転者がこちらへ近づいてきた。

 

やれやれ面倒なことになるかもしれない――と懸念しながら、ともかくどうしたのかと声を掛けたところ、少し先で車がスタックして道を塞いで通れないので、戻って別のルートへ入ろうとしている、とのこと。

 

Uターンするスペースなどはなく、苦肉の策だったのだ。

 


これで妙な行動の理由は納得でき、その点では安心したのだが、こちらも当然、それに倣わねばならないわけで、視界を確保すべくリアワイパーで後部窓の雪を掃って、後退を開始した。

 

しかしながら、バックでの坂上りという滅多にない走行、しかも道は曲がっている上、通行できる幅は車一台がやっと、さらに陽の光はなく辺りは白一色、という悪条件のため、進路を維持するのがなかなか難しく、少し逸れるとすぐ雪の壁に閊えてしまう。

 

そこで強行突破を試みてはこちらもスタックに陥る(経験済み)ので、尻に雪を感じたらすぐ停止し、少し前進して切り返すことを何度か繰り返して、何とか無事別の道へ入ることができた。

 

恐らく、道を塞いだその車も、力技を過信して雪に敗れたのだろう。

 

 

 

さて、用事を済ませ、帰路に就いてしばらく車を走らせている内、ぱらぱらと雪がフロントガラスに当たりはじめ、山を上るにつれそれが次第に激しくなった。

 

ここでこの降りだとすると、我が家の辺りは既に相当積もっているはず、果たして家まで辿り着けるだろうか――と二度目の危惧を覚えながらも、徒な不安を抱いて運転しているとそれに気をとられて別の危難を招きかねないことから、意識を走行に集中した。

 

と、雪の降りが絶頂となったかと思った直後、それがぱたりと止んだのである。

 

空には青い色も見え、弱いながら日差しまで落ちている。

 

そう、雪雲の上に出てしまったのだ。

 


夏場、雨に関しては何度かこれと同じ経験をしたが、雪では初めてかもしれない。

 

ともあれ、無事帰宅できてよかった。